【金融庁】栗田体制が始動、デジタル対応や投資促進が課題
財界オンライン / 2023年8月2日 11時30分
金融庁長官の栗田照久氏(1987年旧大蔵省)体制が始動した。金融行政の要である監督局長を4年間務めた後、筆頭局長である総合政策局長も経験した上での満を持しての登板。
栗田氏の業績を語る上で外せないのが、みずほフィナンシャルグループとの因縁。銀行第一課長だった2013年、系列ノンバンクによる反社会的勢力への融資を巡り、業務改善命令を発動して、母体3行の権力争いを背景としたみずほFGのガバナンス不全を厳しく追及。
1バンク制への移行や、FG社長を名実ともにワントップとして経営責任の所在を明確にすること、委員会設置会社に移行し社外取締役による外部の経営チェックを徹底することなど、みずほのガバナンス再建を指導した。
一方で、SBIホールディングスによる地銀のグループ化を認めたり、コロナ禍では金融円滑化を重視して銀行の資本充実のための公的資金注入のハードルを下げたりするなど、金融安定化のためには柔軟な行政対応も打ち出した。
栗田氏が強く意識しているのが、SNS(交流サイト)の普及が金融システムに及ぼすリスクの検証や対策の策定。米SVB(シリコンバレー・バンク)の破綻ではSNSで経営危機説が瞬時に広がり、破綻までの2日間で預金総額の8割に当たる1420億ドルもの資金が流出。主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも、この「新しい金融リスク」への対応は大きなテーマだ。
一方、「貯蓄から投資の流れ」の加速も重要な課題。岸田首相の「資産所得倍増プラン」の実現に貢献できるように、まずは24年1月から始まる新しい少額投資非課税制度(NISA)の円滑な推進が求められる。業界のビジネス慣行改革を通じて、栗田氏は国民の投資マインドをどこまで掘り起こせるか。
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