【総務省】NHKのネット業務巡り、民放連や新聞協会が反発
財界オンライン / 2023年8月4日 11時30分
NHKは、現在は放送の「補完」と位置付けられているインターネット活用業務について、「放送と同様の効用をもたらす範囲に限定して実施するのが適切だ」との新たな見解を公表した。NHKのネット業務の必須化の是非を検討している総務省の有識者会議で説明した。
これに対し、日本民間放送連盟や日本新聞協会は「ネット配信を放送と同様の必須業務にすれば、業務の際限ない拡大を招く懸念がある」と反発を強めており、夏に予定されているとりまとめに向け、総務省の判断が注目される。
松本剛明総務相は「NHKには放送法に則った適切な運営をしてもらいたい」としているものの、現時点で必須化の是非には言及していない。
NHKは、ネットの本来業務を「放送の同時・見逃し配信」と「報道サイト」と規定し、災害マップや偽情報対策なども限定的に提供すると想定。放送番組の内容を解説・補足するコンテンツは対象外とする方向だ。
ネット活用が本来業務となった場合は、市場内競争に対する影響などを定期的に評価する仕組みを設ける。新サービスを始める際には、影響を事前に審査する体制を構築するなど、民業圧迫につながらないよう自主的に取り組む方針を打ち出した。
一方で民放連は「NHKの説明は曖昧だ」と指摘し、ネット業務の範囲を絞り込むべきだと主張。新聞協会も「なぜ必須化が必要なのかNHKから回答がない」と問題視し、有識者会議に「この夏にも予定していた取りまとめを見送るよう求める」と訴えている。
NHKのネット業務を巡っては、放送法で認められていないBS番組のインターネット配信に関する支出を予算化していた問題が表面化し、NHKの前田晃伸前会長の退職金が減額される事態となったこともあり、NHKと民放側の対立は深まっている。
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