株式非公開化を目指す東芝にロームが3千億円を拠出
財界オンライン / 2023年8月4日 7時0分
モノ言う株主を一掃しても成長につながるかは未知数
「東芝の非公開化に参画し、同社の抱える課題の解消に協力する」――。
日本産業パートナーズ(JIP)を中心とした国内連合による買収提案を受け入れ、非上場化で経営を再建することを決めている東芝。この度、ロームが7月下旬をめどにJICが実施するTOB(株式公開買い付け)に参画し、無議決権優先株式の引き受けを含めて合計3千億円の拠出を決めた。
「非公開化は当社の企業価値向上に資するとの結論に至った」と繰り返す、東芝社長CEO(最高経営責任者)の島田太郎氏。6月の定時株主総会も無事に乗り切り、事実上の「身売り」とも言える非公開化で、経営介入を繰り返してきた〝アクティビストファンド(モノ言う株主)〟を一掃しようとしている。
東芝の買収額は約2兆円。買収資金は金融機関の融資に加え、ロームやオリックスなど、約20社からの出資で賄う方針。
非公開化はアクティビスト側にとってもメリットがある。ファンドである以上、いつかは株式を手放して利益を確定する必要があるが、一定株数以上を持つ投資家の場合、売り抜けようとしても自らの売りで株価急落を招きかねないジレンマがあり、「エグジット(出口)」の見極めは難しい。TOBによる一定額での全株取得が義務付けられる非公開化なら、株価を崩す心配なしに売り抜けられるからだ。
ただ、株式の非公開化は経営の混乱を解消するきっかけになり得るが、成長戦略の迅速な実行につながるかは未知数だ。東芝は〝船頭多くして……〟という事態とならず、再生への道を歩めるか。島田氏の手腕が問われる。
JSR買収の狙いは何ですか? 答える人 JICキャピタル社長CEO・池内省五
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