【株価はどう動く?】今年秋の企業業績、政局によって株価の上昇波動につながるか?
財界オンライン / 2023年8月4日 15時0分
年初来高値の後「ここで一休み」
株価の動きに対する大きな見方は変わっていませんが、ただここに来て、米国の株価の動きが強くなっています。また日本の株は3万3000円台を、時間をかけて固めていく動きになりそうです。
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前回、株価上昇のテンポが早くなってきていたという指摘をしましたが、早く上昇すると、その後に急落の局面が予想されますから、株価はじわじわ上がっていく方が強いのです。
今の株価の動きを波動から見ると、今年の安値は1月4日の2万5661円でしたが、その後じわじわと上がり、下は2万5000円、上は3万円というボックス相場を突破しました。
その後、6月19日には3万3772円という年初来高値を付けました。今は、「ここで一休み」という感じになっています。これは相場の波動の定石通りの動きですが、年初の安値から直近6月の高値まで約31%、3割強上げています。
相場の世界には「三割高下に向かえ」という格言があります。3割上がったところは売り、3割下がったところは買いだという格言です。年初から3割上がったところでは、当然多くの投資家が利益確定をするわけです。ですから7月の相場は高値圏から押し目が入って、揉み合ってきたのです。
もう1つ、時間の波動から見ても、1月の安値から6月の高値まで、約半年上昇しています。これは以前から指摘していることですが、相場には長期と短期の波動があり、どちらにも3つのサイクルがあります。
短期波動の中の短期サイクルは2ないし3カ月、中期サイクルは数カ月から約半年、長期サイクルは12ないし13カ月です。このサイクルからしても、約半年上げていますから、ちょうど休むタイミングでした。
7月12日に3万1791円という安値を付けました。1月の安値から6月の高値まで約8000円上昇しましたが、この3分の1押しが3万1000円台なのです。ここから早ければ、短期サイクルの上昇第2波に向かう可能性があります。
6月19日に3万3772円という高値を付けていますから、意識する時間のサイクルは「3月またがり60日」です。そこからすると8月20日近辺から、新しい上昇波動が始まって6月19日の3万3772円を突破、3万5000円を目指す動きが出てくる可能性があります。
中長期サイクルでは、7月12日の3万1791円が第2波の出発点となる可能性があります。第1波で約8000円上げていますから、単純に8000円を足すと4万円が見えてきます。こうなると、以前から指摘しているように、1989年12月の高値、3万8915円を奪回する波動だということになります。
この7月を出発点とすると、ここから12ないし13カ月上昇して、24年8月、9月頃に4万円を付ける可能性が高まるというのが、波動から見た読みです。
ただ、この7月12日は「一番底」ですから、この後、第2波が始まっても、どこかで「二番底」を付けにくる可能性がありますから、この二番底から約1年後に4万円を狙う動きになることも考えられます。その意味で、二番底を付けるタイミングをどう見るかが重要になります。
では、年後半に3万5000円を目指すにあたって、どのような買い材料が考えられるか。
第1に企業業績です。9月の中間決算では、かなりいい業績が出てくる可能性があります。これが出揃うのが10月下旬から11月中旬ですから、その時期に企業業績を織り込んで高値を取りに来るというのが一つの読みです。
第2に政局です。9月中旬にも内閣改造が行われ、その後に招集される見通しの臨時国会の冒頭に衆議院を解散するのではないかと予想しています。
足元で、岸田政権は「マイナンバーカード」問題の報道などもあって支持を落とし、行き詰まりの様相を呈しています。
解散総選挙で自民党が勝てば、岸田政権の支持率は回復するでしょうし、解散がなくても内閣改造で人心一新となって流れが変わる可能性もあります。
アベノミクス相場以来、解散総選挙は株高という経験法則がありますから、企業業績の好調と政局によって、9月中旬から10月にかけて、株価が上昇し始めるというシナリオが有力と見ています。
米国株は「二番天井」に向かう
米国ではFRB(米連邦準備制度理事会)が年内あと2回の利上げを示唆していますが、株式市場はそのことをすでに織り込んでいます。
しかも、米国の利上げが近くピークアウトし、懸念されたリセッション(景気後退)も起きないか、起きても非常に緩やかであろうと見て、足元で米国の株価が上がっています。特にハイテク株が上昇していますから、ナスダックが強い動きになっています。
ただ、インフレ率は低下しているものの、本当にインフレが収束しているかについては、まだわかりません。来年には再びインフレが頭をもたげて、金利を上げざるを得ないという局面になることも考えられます。
この後、米国経済に好材料が揃って、米国の株価が上昇した場合、「二番天井」を付ける可能性が高まります。つまり、その後に下落が待っているということです。何で下落するかというのは難しいところですが、インフレの再燃というのは可能性として考えられます。また、来年は米国大統領選が控えていますから、政治や外交問題で下げることもあるかもしれません。
日本の物価高は、所得が低く、資産を持たない人達にとっては消費に悪影響を及ぼしている一方、それをものともしない富裕層が増えています。以前も指摘しましたが、資産インフレ相場の中では富の格差が拡大します。
その意味で資産形成の重要度は増しています。これはデフレ時代とインフレ時代の決定的な違いですが、多くの人が積立型の株式投信に投資をしている動きは今後も拡大するものと予想しています。
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