窮地に立つビッグモーター 今後想定される「3つのシナリオ」
財界オンライン / 2023年9月8日 19時0分
不正請求問題に加え ずさんなガバナンスも明らかに
中古車販売大手・ビッグモーターは、自らが起こした「保険金不正請求問題」で窮地に立たされている。
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2023年8月10日には、三井住友銀行など3メガバンク、広島銀行と話し合い、返済期限を迎えつつある90億円の借り換えを要請したが、銀行団は応じない方針を示した。
保険金不正請求問題に加え、ビッグモーターのずさんなガバナンスの実態が明らかになり、急速に顧客離れが進んでいる。この状態で融資を続けることはリスクが大きいという判断。
ビッグモーターは銀行から約600億円を借り入れているが「元々、銀行との付き合いはあまり深くない」(あるメガバンクの関係者)。中古車販売は在庫を回転させるフローのビジネスで、日常の資金繰りで銀行からの借り入れは、それほど必要としていなかったようだ。
だが、この回転が止まった今、運転資金が尽きるまでの時間はそう長くはないと見られている。
今、金融機関などが想定しているシナリオは「自主再建」、「スポンサーによる救済」、「破産、再生手続き」の3つ。
自主再建は、前述のように銀行からの借り換えもままならないくらい信用が毀損している状態では難しいのではないかという見方も出る。
スポンサーによる支援は、同業他社の他、資金面に余裕があり、自動車販売事業に精通している事業会社などが考えられる。ただ、「上場などイグジットが見えづらい中では手を出しづらいのではないか」(メガバンク関係者)という声も。中古車販売を手掛ける企業で上場しているのは「ガリバー」を展開するIDOMなどがあるが数は少ない。
再建策が見出せなければ破産、再生手続きも現実味を帯びるが、そうなると保険金不正請求の被害を受けた消費者の救済や、損害保険ジャパンを始めとした損保会社との関係の実体が解明できなくなる恐れもある。
ただ、いずれのケースも「前社長の兼重宏行氏、前副社長の兼重宏一氏ら創業家が株を手放し、社名を変更するぐらいでなければ関係者は納得しないのではないか」という見方は強い。残された時間は限られている。
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