【ヤマトHD】定年後の社員のリスキリングへワールドHDと提携
財界オンライン / 2023年9月1日 7時0分
日本郵便との提携に続く選択と集中
ヤマトホールディングス(HD)が選択と集中を進めている。同社は人材派遣を手掛ける完全子会社のヤマト・スタッフ・サプライ(YSS)の株式の51%を、人材派遣サービスのワールドHDに売却する。これによりYSSの人材派遣先をヤマトグループ以外にも広げ、定年後の働き方の選択肢を増やす。
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かねてよりヤマトHD社長の長尾裕氏は「今後も経営資源を得意な領域以外にもずっと張っていくかどうかと考えた場合、我々のコア事業とは言えないところに経営資源を張り続けるべきではない」と話しており、ポスト投函型サービスでは長年のライバルである日本郵便と〝電撃提携〟を決断していた。
そして今回の提携では「社外も含めた活躍の場を求めていくため、(YSS社員に)リスキリング(学び直し)の機会をつくる」(同)ことが狙い。もともとYSSにはヤマト運輸で定年を迎えた従業員を中心に1万4000人が派遣登録しており、派遣先は営業所や倉庫といったヤマト運輸の現場が大半だった。
物流業界は拡大するEC(電子商取引)物流とドライバーが不足する「2024年物流問題」に直面。そこでヤマトHDは27年3月までに大型の拠点再編を進めており、3月時点で3331カ所ある営業所を約1800カ所に、仕分け機能などを持つ大型拠点のターミナルを76カ所から70カ所程度に集約する。
そんな物流拠点の集約に伴う人材配置を念頭に長尾氏は「経営として社員の活躍の場を考えなければならない」と考え、EC物流分野で強みを持っている上に、多様な派遣先を紹介できるワールドHDとの提携にこぎつけた。同社の作業標準化などのノウハウをヤマト運輸の拠点運営にも生かし、今後は物流拠点の運営をワールドHDに委託することも検討する。
ワールドHDの事業領域は物流だけではない。製造業も含めて幅広い業種での人材派遣の実績を持つだけに、YSSの社員は物流以外のノウハウや知見を蓄積できるようになる。
宅急便の創設から約50年─。23年4―6月期の業績は赤字となったヤマトHD。更なる事業の選択と集中の深堀りが求められる。
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