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【外務省】内閣官房副長官補の岡野正敬氏が次官に就任

財界オンライン / 2023年8月23日 15時0分

外務省の次期事務次官レースは、岡野正敬内閣官房副長官補兼国家安全保障局次長が射止めた。岸田文雄首相は、岡野氏が官邸サイドからG7広島サミットの首脳外交を制度設計した実績を高く評価し、白羽の矢を立てたとみられる。

 外交をあくまで官邸主導で行いたい首相の意向が鮮明となり、外務省には複雑な思いが交錯している。

 岡野氏は1987年に外務省に入り、雅子皇后陛下と同期。ロシア課長や総合外交政策局長などを歴任し、安全保障問題にも詳しい。これまで、内閣官房副長官補として官邸側からG7広島サミットのプランを一手に練ってきただけに、首相の評価も高い。

 次官レースでは、岡野氏より1期上の山田重夫外務審議官が本命視されてきた。前外相の茂木敏充自民党幹事長が強く推薦していたが、首相はこれを素通りした形だ。

 首相周辺は「山田氏は今の森健良事務次官に近い存在だが、森氏は『外交はあくまで外務省が担うべきだ』という原則論を曲げなかった人物。外相を5年経験した首相は外交のある程度の部分を担いたいとの思いが強く、意思疎通がしやすい岡野氏を選んだ」と語る。

 外務省内では本来、林芳正外相が担うような細かい外交の機会を官邸が奪うだけでなく、「対中国政策など、外交の重要政策も官邸から一方的に方針を降ろされるだけで、こちらの話に耳を傾けてくれないのでないか」(局長級)などと警戒感も広がっている。

 一方、山田氏は駐米大使に転出する方向となった。山田氏も首相がウクライナの首都キーウを極秘訪問する計画を練るなど、高い手腕を持つ。首相は来年の米大統領選に向け、あらゆる結果を想定した体制作りを担わせる考えだ。

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