【株価はどう動く?】9月以降、新たな上昇波動は始まるか、政局にも要注意
財界オンライン / 2023年8月25日 17時0分
「値頃より日柄」時間の読みが大事に
今の株高の動きは、短期の波動では2023年1月4日の2万5661円から始まっています。中長期の波動は前回説明しましたように、20年3月19日のコロナショックの安値、1万6358円から始まっています。
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相場を読む上で、出発点がいつかというのは非常に重要です。いつも説明していることですが、相場は「値頃より日柄」と言われ、時間の読みが大事です、どのくらいの期間、上昇を続けているのか、天井を付けてから、どのくらいの期間下落しているのか、底値を入れてから、どのくらいの期間が経っているのかといった時間の読みが、未来予測の重要な足がかりなのです。
その上で短期の波動を見ると、年初の1月4日、2万5661円から上昇が始まって、4月27日の2万8241円という安値から「上に窓を開けて」上昇が始まり、ついに3万円の壁を突破しました。
この時の株価の日付と位置が重要ですが、3万円を突破した後、株価の動きは強くなり、6月19日には3万3772円を付け、ここが短期サイクルの一番天井となりました。その後、7月12日に3万1791円で一番底、その後株価が戻って、8月1日に3万3488円を付けて、短期サイクルでの二番天井を付けた形になっています。
その後、株価は下落し、8月14日の週に3万1000円台を付けて、ここが短期サイクルの二番底となるかどうかが攻防の分岐点となります。
ここが本当に短期サイクルの二番底となり、その後3万2000円前後で揉み合いが続くということになれば、あとは日柄調整だけになり、新たな好材料が出てくれば、新しい上昇波動が始まるという展開が予想されます。逆に、7月12日、8月16日の安値を下回ってくるようなら、調整局面が長引きます。
一番天井の6月19日から「3月またがり60日」というと8月20日頃です。ここが最初の注目日程です。次に、一番底を入れた7月12日からの「3月またがり60日」で見ると9月12日頃です。早ければ8月末頃までに、あるいは9月中旬から下旬頃に3万3000円前後の高値圏での揉み合いが終わり、新しい上昇波動が始まる可能性があるのです。
それならば、株価にとってどんな情報が出てくるのか。8月末までにどんなイベントが予定されているかというと、8月24日から26日まで、米ワイオミング州にある「ジャクソンホール」で世界各国の中央銀行総裁や政治家、学者が集まる経済政策シンポジウムが開催されます。
この場では、FRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル氏が就任以来講演していますが、この場で何を話すかが注目されます。
足元で米国のインフレが収まりつつありますから、万が一、パウエル氏が金利引き上げの終了宣言をするようなことがあればサプライズとなり、米国の株価は暴騰、日本の株価もつられて上昇するでしょう。
実際には、パウエル氏を始めとするFRBはまだ、米国のインフレに対する警戒心が強く、引き続き注意深く見守って、必要があれば次のFOMC(米連邦公開市場委員会)で金利引き上げを実施するというメッセージが出てくる可能性の方が高いと見ています。この方向性はかなり織り込まれているので、マーケットには大きな影響は出ないと見ています。
ただ、引き続き金利上昇の可能性が高いということになると、今度は為替市場でドル高・円安が強まることが考えられます。
今後考えられるシナリオは、金利引き上げ打ち止めで米国株暴騰か、引き続き緩やかな金利上昇を維持し、ドル高円安が続くというものです。ただ、いずれも日本の株式市場にとってはプラスですから、新しい上昇波動のきっかけになり得ます。
もう一つは日本銀行総裁の植田和男氏が何らかのメッセージを出すかどうかも注目されます。7月の金融政策決定会合でYCC(イールドカーブ・コントロール=長短金利操作)における変動許容幅は変えないものの、事実上1%までの上昇を容認する形に修正しましたが、さらなる修正を示唆するかどうか。
こうしたメッセージが出た場合には、日本の株は一時的に急落する可能性はありますが、逆にそこは絶好の買い場となります。その意味でも、8月20日以降は日米の株価が大きく動く可能性がありますから要注意です。
日本の株式市場が新たな上昇波動に入った後、年末までに付ける高値が3万5000円止まりなのか、3万5000円を突破する強い株高になるのかは、9月以降の内外の政治情勢、国際経済次第です。
日本の政治を見ると、岸田政権の支持率が下がっていますから、現時点は3万5000円止まりではないかと見ています。年末までに岸田政権が人気を回復することができるかが問われます。そのためには、9月中旬にも予想される内閣改造で人心一新ができるか。注目は官房副長官の木原誠二氏、デジタル担当大臣の河野太郎氏の処遇です。
内閣改造以降、岸田政権の支持率が上昇すれば、秋の臨時国会冒頭で解散し、総選挙に打って出る可能性はゼロではありませんが、私は足元の支持率低迷で可能性が低くなっていると見ています。ただ、岸田首相が解散を打てるタイミングが限られてきていることは間違いありません。
これ以外で岸田政権の支持率が回復するとしたら外交です。その意味で、8月18日開催の日米韓首脳会談の成否が問われます。
今後、日本経済にとって重要なのは、30年に及ぶデフレ不況を脱することができるかです。脱デフレは株価上昇につながります。もう一つは足元でマイナンバーに代表されるような、DX革命が前進するかどうかです。
脱デフレの条件は、日本が欧米並みの成長率を取り戻すまでは円安、金融緩和が継続することです。DX革命推進に向け、例えばデジタル担当大臣に、前首相の菅義偉氏を起用するくらいの思い切った手も必要かもしれません。
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