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リブラン社長・渡邊裕介氏「業界で誰も手掛けていないような新たな事業を生み出す『異端な企業』であり続けたい」

財界オンライン / 2023年10月3日 20時0分

渡邊裕介・リブラン社長

分譲マンションの知見を新たな事業でも活かす

 不動産の仕事は、景気がいい時も悪い時も難しいものだというのが、この業界に身を置く者としての実感です。

【写真で見る】リブラン・渡邊社長の経営に密着!

 足元で言えば、建築費の高騰が大きな課題です。さらに折からの人手不足に加え、2024年4月からは時間外労働に対する規制が厳格化される「2024年問題」もあり、今後も建築費が下がることは見通せません。

 不動産は世の中に先んじてインフレ化し、価格上昇が続いてきました。政府を含め、物価上昇に合わせて給与水準を高める努力を続けていますが、不動産価格がもう一段上がるかというと、消費者の方々がついていけるのかという問題が生じます。

 当社は以前、ファミリータイプの新築分譲マンションを開発・供給するデベロッパーでしたが、リーマンショック以降、現会長の鈴木雄二が事業ドメインの変更を進めてきました。

 その軸の一つが防音賃貸マンション「ミュージション」を軸とする土地の有効活用事業です。「ミュージション」は、土地をお持ちの投資家さんの観点で言えば、足元で99%近い入居率で、入居をお待ちいただいている方も約4000人おられます。その意味では今後、表面利回りが下がったとしても、長期保有で賃料収入を得ていただくことが可能な物件だと言えます。

 当社の中で「ミュージション」のコンセプトが生まれたのは約30年前に遡ります。第1号物件は2000年竣工の「ミュージション川越」(埼玉県川越市)でした。音楽家、音楽大学に通う学生さん、バンドマンを対象に、自宅で楽器の練習ができるマンションというコンセプトです。

 防音性能の向上などのハード面だけでなく、入居者さんやオーナーさんが集まる「ミュージションズクラブ」を、音大出身のスタッフが運営して様々なイベントを開催するなど、ソフト面の強化を地道に進めてきた結果、今のステージに至った形です。

 さらに今、ブレークした要因は「動画配信」の隆盛です。誰でも気軽に取り組めるくらい動画配信のハードルが下がったことに加えて、コロナ禍によって、さらに自宅で仕事をする人が増え、需要が拡大したのです。

 今後に向けては防音に加えて、最高品質のインターネット環境を備えた「ゲーミングマンション」の開発を構想しています。

 もう一つの軸として、当社が手掛けてきた自然素材を活用し、住みよい暮らしを実現する分譲マンション「エコヴィレッジ」で培ったコンセプトを、中古マンションのリノベーションサービス「てまひま不動産」に活かしています。今後、不動産のストックやリノベーションがさらに注目される時代になると見ていますから、さらに注力したいと考えています。


DNAを次世代につなぐ

 私は23年4月に創業家以外の人間として初めて、当社の社長に就任しました。19年に取締役になって以降、社長になるかどうかは別にして、自分も経営陣の一員として、会社の将来を考える意識を持って仕事をしてきたつもりです。

 また、当社に「企業目的」があることは大きいと感じます。私自身が何かをすることも大事ですが、会社の軸が「企業目的」にありますから、そこに合っているかどうかを見ながら、社員を含めて仕事ができるからです。

 将来に渡って、業界の中では「異端」の存在でありたいと考えています。これまでも、他社が手掛けていない事業を生み出してきましたが、100人中1人だけでも強烈に愛してくれるような商品をつくり続け、そのDNAを次世代につなぐことも私の仕事だと思っています。

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