【総務省】NTT法改正へ議論開始 完全民営化、自民で加速
財界オンライン / 2023年9月6日 18時0分
総務省は、NTT法などの在り方について新たな議論を始めることを、情報通信審議会(総務相の諮問機関)に諮問すると発表した。2020年の改正法施行から3年が経過することを踏まえ、見直しの必要性を検討する。
政府が保有するNTT株を巡っては、自民党の特命委員会が6月、防衛費増額の財源確保策として、「完全民営化の選択肢も含め、速やかに検討すべきだ」と明記したことがきっかけとなり、議論が動き出した。このため、総務省の情報通信審議会でも、売却による完全民営化が主要議題となるのは確実だ。
審議会では、30年頃に目指すべき情報通信インフラの将来像や政策の方向性の他、競争ルールの整備の在り方などについて検討。8月末に議論を開始し、24年夏頃の答申を目指す。
NTT法は、政府に「3分の1以上の保有」を義務付けており、政府の株保有割合は3月末時点で34.25%。完全売却すれば約4.6兆円の財源確保につながる計算となる。松本剛明総務相は「与党・自民党における議論もよく注視をしつつ、必要な検討を進めたい」としつつ、幅広い議論を行う構えだ。
NTTの完全民営化を巡っては、自民党の議論が先行している。防衛費増額に必要な財源確保に向け、NTT株の売却を議論するプロジェクトチーム(PT)の役員会をすでに開催。PT座長に就いた甘利明前幹事長をトップに、総務省からNTTの経営状況などについて聴取を行うなどしており、秋にも提言をまとめる方針だ。
NTTの島田明社長は、現行法について「今の時代に合っていない部分もあり、見直した方がいい」との姿勢を示す。特に、研究成果の公開や全国一律の固定電話サービスが義務付けられている点を上げ、改正が望ましいと主張している。
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