【株価はどう動く?】設備投資は2年連続100兆円超えへ、今後注目の銘柄は何か?
財界オンライン / 2023年9月14日 15時0分
「ジャクソンホール」で出たメッセージは?
短期サイクルの動きを見ると、2023年年初、1月4日の2万5661円から始まり、6月19日に3万3772円で当面の天井を付けました。その後、8月1日に戻り高値で3万3488円を付け、短期サイクルでの二番天井を打った形になっています。その後、株価は下落してきました。
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8月18日には3万1275円を付けましたが、7月12日に付けた3万1791円という一番底を下回っています。ここが二番底となるかどうかが、目先の株価の行方を左右します。
もし、株価が下げ止まらなかった場合には「半値押し」を意識することになります。1月4日から6月19日まで8111円上昇しましたが、この3分の1押しが、一番底に近い3万1000台です。これが半値押しとなると2万9700円近辺で、つまり瞬間的にでも3万円を割れるケースです。
この攻防の分岐点に差し掛かる中で8月24日から26日に米ワイオミング州にある「ジャクソンホール」で開催されたのが、世界各国の中央銀行総裁や政治家、学者が集まる経済政策シンポジウム、通称「ジャクソンホール会議」です。ここではFRB(米連邦準備制度理事会)議長のジェローム・パウエル氏が講演をしました。
ここでのメッセージ次第で、日本の株価が二番底を入れて底値固めをし、その後上昇するのか、もう一段下落して3万円を割れるのかが分かれます。
ジャクソンホールでのパウエル氏の発言は、おそらく「タカ派」的だろうと見ていましたが、米国の長期金利は4.35%という15年ぶりの高水準となりましたから、引き続き、インフレの再燃に対して警戒を緩めないという姿勢を明確にしました。
ただ、米国では金利は上昇していますがインフレは収まりつつあります。しかも、米国の経済状況は景気後退も懸念されていましたが、引き続き好調です。年初からのFRBの金融引き締めは成功し、ソフトランディングしたという見方も出ています。
ですから、ジャクソンホールでのパウエル氏は、市場が織り込んだレベルの「モデレートなタカ派」的発言をし、それによって週明けからの日米の株式市場は上昇するのではないかと見ていましたが、やはり週明けの日米株式市場は上昇しています。
以上は短期の動きですが、中長期的な見通しでは、この後、ニューヨークダウやナスダックはさらに上昇を続け、どこかで中長期の二番天井を付ける可能性があると予想しています。二番天井を付けた後には、かなり厳しい下落が待っているはずです。
一方、日経平均は米国株が下げた時には連動して下げる局面もあると思いますが、中長期的に上昇が続きます。
23年、24年、25年は3年連続で「ゴールデンサイクル」に入ったとされています。この波に乗って、遅くとも24年の年末までにバブルの高値を奪回、もしくは突破するという見方は変えていません。近い将来、「日経平均4万円時代」がやってくると予想しています。
その材料の1つが、企業の設備投資の拡大です。23年度の名目設備投資は100兆円強、24年度は105兆円弱に上るという見通しが出ています。
設備投資の100兆円超えはバブル崩壊以降初めてですが、過去の100兆円超えの際には景気はよく、株価も上昇していました。しかも、2年連続で設備投資が100兆円を超えると史上初めてのことになります。これは日本の景気と株価の歴史的転換点となる可能性が出てきています。私が予想している日経平均4万円も通過点となるかもしれません。
さらに、「大円安時代」の到来で、インバウンド(訪日外国人観光客)が一層拡大していますし、個人消費も今年、来年と大きく伸びるものと見ています。
設備投資の拡大は消費や雇用の拡大につながりますし、雇用拡大は人手不足の日本では賃金の上昇につながります。23年4月から始まった「賃金インフレ」が拡大して、日本にバブル崩壊以降、久方ぶりの好況到来、株高が到来しそうです。
このことに次第に個人投資家も気づき、個人金融資産のうち現金・預金として眠る1100兆円が、株式市場だけでなく、株式以外の資産価値のあるものに動き出しています。
今後、個人投資家は好業績、高配当の銘柄に入ってくるでしょう。特にPBR(株価純資産倍率)1倍割れで好業績、高配当株が狙い目になってきています。その代表的セクターが、以前も紹介しましたが海運大手3社、日本製鉄に代表される鉄鋼、そして「ウォーレン・バフェット銘柄」と呼ばれている総合商社です。
ただ、5大商社の株価は、すでに高値圏にあり、足元ではPBR1倍を回復しています。その意味ではPBR1倍割れで業績のいい双日(2768 東京PRM)は有望だと思います。今、株価は3000円そこそこですが、ちなみに双日のPBR1倍達成は株価4000円以上です。
以前も指摘しましたが、これら海運、鉄鋼、商社の3つは第1次世界大戦時の特需で業績、株価が上がったセクターでもあります。
これに続く第4のセクターは今後拡大が予想されるインバウンド関連銘柄です。具体的には食品関連、中でも足元では「砂糖」関連、東洋精糖(2107 東京STD)やフジ日本精糖(2114 東京STD)には注目しています。砂糖価格の上昇を背景に業績の向上が続いていますし、これらの銘柄は高配当でもあります。
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