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FIXER社長・松岡清一が語る『IT後進国・日本からの脱皮』

財界オンライン / 2023年9月8日 7時0分

松岡清一・FIXER社長

日本は米国の7年遅れ

 ─ 2009年に創業したFIXERですが、まずは会社設立のきっかけから話してもらえますか。

 松岡 わたしはもともとNRIネットコムというNRI(野村総合研究所)の子会社で働いていました。環境的にも恵まれており、就職した時も、就職してからも、自分が起業するなどとは考えたことも無かったのですが、入社3年目の1997年に米国で子会社の立ち上げに関わることになりました。

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 実はここでショックを受けまして、わたしの中ではそれまでの経験で、自分は仕事ができている人間だと思っていたんですね。ところが、IT先進国である米国のエンジニアと一緒に仕事をすると全然歯が立たないわけです(笑)。

 ─ 次元がまるで違ったんですね。

 松岡 ええ。米国に来たら、わたしの30人分くらい仕事のできる人が沢山いました。

 これはもう話にならないという感じで、わたしも一生懸命頑張ったのですが、2000年代の中頃から、米国ではクラウドサービスが登場し始めていて、技術革新の速さに驚かされてばかりでした。

 そこで最先端のクラウド技術をできるだけ吸い込んで、日本に持ち込み、日本で広めたいと考えました。ところが、同僚や先輩に「米国ではこういうサービスがあって……」という話をしても、「お前は何の話をしているんだ?」という感じで全く理解してもらえません。それで一念発起して、独立しようと考えたのです。



 ─ 今は、そうした日米の意識の差は解消されたと言っていいですか。

 松岡 いいえ、今も本質的にはあまり変わっていないような気がします。今でこそ、日本でシステムを構築するにあたっては、クラウドを使わない会社さんの方が少ないと思いますが、創業した2009年当時はクラウドがなかなか浸透しない状況でした。

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 特に日本の場合、大手電機メーカーのような大企業が自分たちのサーバーが売れなくなるということで、クラウドにとって代わられると困るという側面があったのです。

 ─ 技術の転換期はいつもそうですが、既存産業の抵抗があったということですね。

 松岡 やはり、時代が変化して、技術が発展していけば、求められるものが変わってくるのは世の常です。

 コンピューターの世界でも、かつてはメインフレームで大型のコンピューターを扱っていたのが、いわゆるワークステーションをつくる会社が登場して、メインフレームの会社を駆逐していきました。その後、ワークステーションの会社をPC(パソコン)サーバーをつくった会社が駆逐していき、PCをスマートフォンが駆逐していったわけです。

 技術の進歩や発展は誰にも止めることはできません。そのパラダイムシフトをうまくキャッチアップすることが重要で、それができないとIT後進国と言われるようになるのです。

 ─ 日本は大体、米国の何年遅れと考えればいいですか。

 松岡 今言われているのは7年遅れです。日本は遅滞国どころか、クラウド抵抗国と言われています。それはなぜかと言うと、残念ながら経営者がITを理解していないからです。

 しかし、われわれからすると、IT化に遅れているということは、クラウドサービスやデジタル化への需要が多いことを意味します。ましてや、日本は少子化が進み、人手不足で困っているわけですから、デジタル化して生産性向上を目指すのは当然です。ですから、今後需要が増加するクラウドサービスのニーズに対して、当社が培ってきた技術でお応えしたいなと考えているところです。

続きは本誌で

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