【ビール会社の戦略】10月の酒税改正を前に新機軸を打ち出すビール各社
財界オンライン / 2023年9月11日 11時30分
10月に実施されるビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)の酒税改正でビール業界が色めき立っている。各社で共通するのは、店頭価格が約6円値下げされるビールでの需要喚起。価格はもちろん、「日本初」や糖質などの「ゼロ・オフ」といった健康志向を訴求するなど戦略の差別化が進む。
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「ビールカテゴリーにとって追い風になる。特に缶が伸びていくのではないか」と予測するのは、サントリー執行役員ビールカンパニーマーケティング本部長の多田寅氏。同社は数量限定で『パーフェクトサントリービール〈黒〉』を発売する。糖質ゼロの黒ビールは日本初だ。さらに店頭想定価格は211円前後と、アサヒビールやサッポロビールの新商品より安い。
そのアサヒの新商品は基幹ブランド『スーパードライ』の低アルコール商品『ドライクリスタル』。通常のスーパードライのアルコール度数は5度だが、市場に出回るビールのうち9割以上が度数4~6%という状況を踏まえ、低アルコール商品を打ち出す。若年層を見据えて10年後の顧客の〝ど真ん中〟を狙っていく考えだ。
糖質とプリン体という2つの「オフ」を初めて実現したのがサッポロだ。開発に7年をかけ、300回以上の試験醸造を重ねて『サッポロ生ビール ナナマル』を発売。糖質とプリン体を70%低減した商品となる。
キリンビールはクラフトビールを深掘りする。『スプリングバレー』から日本産のホップを一部使用した『ジャパンエール〈香〉』を発売。クラフトビールが持つ多様性を強化する。
一昨年の酒税改正でビールの価格が下がってから販売は伸長。7カ月連続で前年同月比を上回る。一方で値上がりした新ジャンルは10カ月連続でマイナスだ。さらに10月から新ジャンルは約9円増税となるため、各社の商品戦略も新商品の舞台がビールになり、新ジャンルの新商品はゼロで様変わりしている。
原材料高騰が続く中で、いかに消費者を惹きつける〝キレ〟のある戦略を打てるかが各社の勝負どころとなる。
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