そごう・西武の労働組合、大手百貨店で約60年ぶりのストライキを実施
財界オンライン / 2023年9月12日 11時30分
4年連続赤字を計上するなど厳しい経営環境が続く中で…
「雇用の維持が本当にどこまでできるのかということに対する不安がぬぐえない。ストライキを選択せざるを得ない」
こう語るのは、8月28日に記者会見した、そごう・西武の労働組合で中央執行委員長の寺岡泰博氏。
8月31日、セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武の労働組合が、異例のストライキに踏み切った。対象となったのは旗艦店の西武池袋本店で、大手百貨店では約60年ぶりのストライキ実施となった。
セブン&アイは昨秋、同社が保有する、そごう・西武の全株式を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループへ売却することで合意。しかし、フォートレスと連携する家電量販店大手ヨドバシホールディングスの出店や売却後の雇用確保を巡り、関係者の調整が難航。前豊島区長の高野之夫氏(故人)が、〝文化の街〟というイメージが損なわれかねないと反対するなど、交渉の行方は世間的な関心事となっていた。
今回、焦点となっているのは、従業員の雇用の維持と地域社会からどう理解を得られるかということ。セブン&アイは「新たなオーナーシップの下での成長戦略に舵を切ることが、真の『雇用維持』及び『事業継続』を実現する上で不可欠」とコメント。8月31日に臨時取締役会を開催し、そごう・西武の売却を正式に決めた。
一方、ヨドバシは百貨店の顔とも言える低層階への出店計画を一部見直す考えを表明しているが、これだけ出店立地の自治体や従業員が反対する状況下では、さらなる計画の変更を余儀なくされるかもしれない。
もっとも、そごう・西武は4年連続赤字を計上。約3千億円の過剰な債務を抱えるなど、厳しい経営環境が続く。今回のそごう・西武の問題は、仮に現在の職場が無くなっても、グループ内への配置転換や個人がスキルアップすることで、社会全体で雇用をいかに守るか――という課題を突き付けている。そして、百貨店のあり方やステークホルダーとの関係が問われていると言えそうだ。
【追悼】イトーヨーカ堂創業者・伊藤雅俊さんを偲んで 鈴木敏文さん(セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問)
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