携帯各社が値下げ戦略を転換 KDDIは金融サービスを強化
財界オンライン / 2023年9月13日 15時0分
「各社の〝経済圏〟の取り組みに追いつき、追い越さないといけない。一矢報いたい」
KDDI社長の高橋誠氏は、このような決意を述べた。
同社は9月1日、通信と金融サービスを組み合わせて使う人を優遇する新料金体系『auマネ活プラン』を投入した。
同プランの利用者は月額7238円(消費税込み)でデータ通信を使い放題。クレジットカード『auペイカード』およびauじぶん銀行の口座を持ち、これらどちらかで同プランの利用料を支払えば、月額800円相当のポイントが還元される仕組み。
KDDIはスマートフォン決済『auペイ』のサービス開始が2019年4月で、競合他社が手がける『ペイペイ』や『d払い』よりも後発だった。
一方で「十数年かけて(金融サービスの)ラインアップを作ってきた」(高橋社長)ことで、銀行や証券会社などをグループに持つ。ポイントをはじめとする経済圏の実効性を高められれば、顧客の囲い込みにつながる考え。
KDDIが金融に力を注ぐのは多角化のためだ。
従来、少子高齢化で携帯電話の利用者は頭打ちになると考えられてきた中、前首相の菅義偉氏が〝官製値下げ〟を推進。同社の22年3月期の通信ARPU(1契約当たりの月間平均収入)は前期比200円減の4200円になるなど、屋台骨の個人向け通信事業が打撃を受けた。こうした状況は、NTTドコモやソフトバンクも同様で、非通信分野の重要性が増している。
一方、各社は通信サービスの客単価反転にも動き出した。
ソフトバンクは格安ブランド『ワイモバイル』の新料金プランを、10月を目途に投入。データ利用量が少ない消費者向けの『S』プランは月3ギガバイトから4ギガバイトに増やし、税込みの基本料金は2178円から2365円に引き上げる。ドコモは7月から新プランを展開するなど、他社も料金改定を進めている。
各社とも一気に値下げから値上げへ戦略を転換。収益改善につながるか注目される。
ソフトバンクGが〝虎の子〟アームを9月にも新規上場
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