【東急電鉄】インバウンドを視野にクレカ改札を導入へ
財界オンライン / 2023年9月28日 11時30分
「都市と住宅地を結ぶ一方通行だけではなく、沿線全体を動き回ってもらえるサービスを展開していきたい」─。東急電鉄 広報・マーケティング部統括部長の稲葉弘氏はこう語る。
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コロナ禍を経て小売り・流通店舗などを中心に、一気に普及し始めたクレジットカード・QRコード決済。その流れが鉄道にも広がっている。東急電鉄は田園都市線や世田谷線の1日乗車券を使う際、クレカでも改札を通れる実証実験を始めた。
新しい改札機にはICカードをタッチするパネルの手前に、クレカやQRコードを読み取る装置を装着し、今年度中にほぼ全線で専用改札を設ける。コロナ禍で、これまで当たり前だった通勤・通学利用が減り、リモートワークやリモート授業が普及。多様なライフスタイルに向けて、もっと人や街とつながる乗車サービスの構築を目指す。
ただ、狙いはそれだけではない。今後増加するインバウンドだ。海外では公共交通のクレカ決済が浸透。日本では「Suica」や「PASMO」などの交通系ICカードが普及しており、訪日客は交通系ICカードなどを購入する必要があった。
しかし、クレカ決済であれば、そのまま自分のカードが日本でも使えるようになる。鉄道会社にとっても切符に代わる手段として普及が進めば、「券売機などの設置にかかるコストの削減も見込める」(関係者)。
公共交通向けの決済プラットフォーム「ステラ トランジット」を運営する三井住友カードによると、公共交通機関でのクレカ対応はすでに世界700弱の地域で導入されており、国内ではJR九州や福岡市営地下鉄など地方の鉄道会社やバス会社など、80社超の交通事業者で実用化や実証実験が進む。
そして首都圏では東急電鉄のほか、東京メトロが24年度にサービスを始める計画を示す。鉄道利用の垣根を低くすることで移動需要を創出する今回の実験だが、首都圏の鉄道は相互直通運転でつながっており、自社の沿線以外にも広げる必要がある。その点、各社が乗り入れ先の事業者にも理解を求めていく必要がある。
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