【農林水産省】1千億円の水産業支援に水を差した前大臣の「汚染水」発言
財界オンライン / 2023年9月22日 15時0分
政府は、中国による日本産水産物の全面禁輸を受け、水産業支援策をまとめた。予備費から207億円を支出し、既存の800億円の基金と合わせて、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に絡んだ水産業支援の総額は1千億円規模となった。
ただ、8月24日の処理水放出からパッケージの策定に至るまでの間に、野村哲郎農林水産相(当時)の失言が相次ぎ、政権の求心力に微妙な影を落としている。
政策パッケージでは、中国への輸出が多いホタテやナマコの一時買い取り・保管などの経費を補助する。ホタテは中国でむき身加工された後に米国に輸出されており、中国で加工しなくても済むよう、国内への設備の導入を支援するほか、作業要員の確保にも補助を出す。販路の拡大や国内消費拡大も後押しする。
「水産業を守る」というメッセージを打ち出した政策パッケージに水を差したのが、野村氏の発言だ。8月31日には首相官邸で記者団の取材に対して「汚染水」という言葉を使った。中国はALPS処理水を「核汚染水」などと呼び、海洋放出に反対している。汚染水発言は、中国側の主張に迎合するようなもので、水産業への風評被害を助長しかねない。
事態を重く見た岸田文雄首相は、全面的に謝罪し、撤回するよう農相に指示。野村氏はその日の夜に農水省で記者団に「言い間違いだった」として重ねて謝罪した。
これに先立って、処理水の放出を開始した翌日の記者会見で野村氏は、中国が日本産水産物の全面禁輸に踏み切ったことを「全く想定していなかった」とも発言した。いずれも本人からすれば言い間違いや邪気のない発言だが、水産業者に寄り添わなくてならない担当大臣としての資質を疑問視する声が野党からは出ている。
【株価はどう動く?】設備投資は2年連続100兆円超えへ、今後注目の銘柄は何か?
この記事に関連するニュース
-
日本政府、太平洋島嶼国に漁業調査船を無償供与へ…処理水放出への不安払拭を狙う
読売新聞 / 2024年7月13日 15時0分
-
タイ資本の大型スーパーと連携、小売り・卸売り双方に日本産水産物をプロモーション(ベトナム)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月12日 0時25分
-
米大使「安全性の風評根拠なし」 福島・南相馬のサーフィン視察
共同通信 / 2024年7月6日 18時28分
-
メキシコの州政府機関と水産加工業者が訪日、ホタテ関連企業と商談(メキシコ、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月2日 13時30分
-
福島原発処理水の放出容認せず 全漁連会長、中国の禁輸措置懸念
共同通信 / 2024年6月20日 18時3分
ランキング
-
1セルフレジで客が減る? 欧米で「セルフレジ撤去」の動き、日本はどう捉えるべきか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月18日 8時10分
-
2電話番号案内104終了へ NTT東西、利用者激減で
共同通信 / 2024年7月18日 21時35分
-
3東証、一時1000円近く下落 円高進行で輸出関連に売り
共同通信 / 2024年7月18日 11時58分
-
4「レイバン」メーカー、人気ブランド「シュプリーム」を15億ドルで買収
ロイター / 2024年7月18日 8時34分
-
5申請を忘れると年金200万円の損…荻原博子「もらえるものはとことんもらう」ための賢者の知恵
プレジデントオンライン / 2024年7月17日 8時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください