【創業した企業の売却と脱炭素への挑戦】上村一行・シェアリングエネルギー代表取締役の転機とは?
財界オンライン / 2023年10月6日 11時30分
当社は、全国で「シェアでんき」という太陽光無償設置サービスを展開している企業です。このサービスは、建物の屋根をお借りして太陽光発電システムを無料で設置し、発電された電気は電力会社よりも安い価格でご利用いただけるものです。また、契約期間終了後には、太陽光発電システムをお客様に無料譲渡しています。
このビジネスモデルを考え出したのは2017年頃のことです。その後、20年10月に当時の菅義偉首相が、2050年までに「カーボンニュートラル」を目指すと宣言され、その翌年に実現のためのロードマップが示されましたが、その重点施策の1番目が、まさに我々が手掛けている「屋根置きなど自家消費型の太陽光発電」でした。不可逆的な流れが来たと感じます。
我々の事業は業界的には「ゼロ円太陽光」と呼ばれますが、その中に「リース型」と「PPA(電力販売契約)型」とがあり、我々はPPA型を展開しています。多くの企業がリース型を手掛けている中、よりお客様にメリットを提供できるPPA型専業として展開できているのは、小規模かつ大量の取引を円滑に進めるオペレーションが確立できていること、銀行の支援も得られていることに強みがあります。
当社は「分散電源の創出により、エネルギーシステムを変革する」をミッションに掲げています。再生可能エネルギーを軸に「地産地消型エネルギーシステム」を目指したいと思います。
私の転機は、創業した会社の売却です。私は大学時代に友人達と起業した後、コンサルティングファームなどを経て08年、太陽光発電会社やリフォーム会社の比較サイトを手掛けるアイアンドシー・クルーズを創業しました。
上場を目指していましたが、そのタイミングや、様々な要因があり、今後の事業成長のためには売却する方が会社にとっていいと考え、決断しました。私が経営していた時期、100名超の従業員のうち、大半が新卒という若く、勢いのある会社でしたから、売却先選定にあたっては、組織風土や企業文化なども重視して決定しました。
今も、当時の仲間とは毎月のように会って、当時の私の経営スタイルについてフィードバックを受けており、自分に足りないもの、あるいは強みなどについて知る機会になっています。この売却は最後まで悩みましたが、今振り返ると、私の経営者としての幅を広げることにつながる経験だったことは間違いありません。
このシェアリングエネルギーを社会的価値のある会社にすることが当時の仲間達、今一緒に頑張ってくれている仲間達に対する恩返しだと思っています。
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