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植松隆史・KiteRa CEOが語る「テクノロジーの力で『社内規程』の管理を効率的に」

財界オンライン / 2023年10月6日 15時0分

植松隆史・KiteRa CEO

当社は「安心して働ける世界をつくる」をミッションに掲げて、「社内規程」をテクノロジーの力で簡単に正しく運用できるクラウドサービスを、社労士向け、企業向けに2種類展開しています。

 この事業を生み出した背景には、私の原体験があります。私は前職のシステムインテグレーション会社で、人事労務、経営企画、内部統制の構築といった仕事に約14年間携わりました。

 前職の会社は上場を目指しており、私は内部統制の構築の中で、社内制度やルールづくりに携わり、それらを文書化する業務も手掛けていました。その業務過程で、既存の文書作成ツールを使用していたのですが、「社内規程」は独特の文書形態のため、編集したり管理サイクルを保つうえでは扱いにくいなと感じていました。

 社内規程は、法律や契約書のような構造化された文書で、バージョン管理が必要であったり、改定の度に新旧対照表をつくる必要があり、既存の文書作成ツールでは、その作業が非常に煩雑で非効率でした。

 そこで、手の空いていた社内のエンジニアに声をかけて、社内規程に関する作業を効率化するためのツールづくりを頼んでいたのですが、それが社内プロジェクト化したのです。

 このツールは、私と同じように社内規程の作成や管理に悩む人のお役に立てるのではないかと考え、2019年に当時一緒にプロジェクトに関わっていた仲間と立ち上げたのが「KiteRa」です。

 ただ、ここまで決して順調だったわけではありません。創業してすぐは、プロダクトが完成していませんでしたから、資金調達には高い壁がありました。銀行やベンチャーキャピタルを回りましたが、なかなかよい返事をもらうことができません。

 経営、開発には資金がかかりますから、徐々に資金が足りなくなってきました。そこでメンバーと話して、一度事業を止めて、チャンスを見て再起を図ろうと決めました。

 当時は資金調達に向けて、様々なピッチイベントに出ていたので、エントリーしていたものをお断りしたところ、1つのピッチイベントから「チャンスがあるかもしれないので出て見てはどうかと」と言われて出たところ、結果3社からオファーをいただけたのです。

 2020年の初めから、新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、在宅勤務やテレワークが広がりました。そのための社内規程を整えなければならないというニーズが高まったこと、DXの流れは当社にとって追い風になったと感じています。

 当社プロダクトはまず社労士の中で広がりました。私自身が社労士資格を持っていることもあって、その仕事内容や課題などが見えていたので、そのニーズに当社のプロダクトが合致したのです。現在は社労士向けサービスに加えて企業向けサービスも展開しており、特に大企業やこれからIPOを目指す企業の引き合いが強くなっています。

 前述のように、私は原体験として内部統制やガバナンスに関する仕事をしていました。ですから将来は、会社の制度やルールづくりを定義するドキュメントを統合的に扱えるプラットフォームにしていきたいという思いを持っています。

 例えばISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)やJ-SOX(内部統制報告制度)など、広義の社内規程・ガバナンスにまつわる文書を統合的に管理できるようなプロダクトに進化させていければと考えています。

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