ソフトバンクGが英アームを上場 次に狙うのはオープンAIか?
財界オンライン / 2023年10月10日 7時0分
時価総額は9.6兆円と今年最大の新規上場
ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導設計大手アームが9月14日、米ナスダック市場に上場。初日は63.59ドルと、売り出し価格を25%上回る水準で取引を終えた。
世界的に人工知能(AI)開発競争が過熱する中、高度な技術力を有するアームへの期待が買いを誘った。時価総額は9.6兆円と今年最大の新規上場となった。
SBG会長兼社長の孫正義氏は「アームはAI革命の中核になろうとしている」と力を込める。半導体設計を手掛けるアームは1990年に英ケンブリッジで創業。スマートフォン向けの世界シェアは9割に達する。
SBGは2016年にアームを3.3兆円で買収、20年には半導体大手エヌビディアへの売却を決定した。しかし、英当局などの承認を得られなかったため断念。今度はアームを上場する戦略に転換した。
孫氏がAI戦略の中核に据えるアームには、米アップル、半導体大手インテルなどが出資する方針。名だたるテック企業と協力関係を深めることで、ブームが巻き起こる生成AI関連の需要を取り込みたいとの思惑がある。
今後の焦点は、新たな投資先はどこになるのかということ。 今回の上場に伴い、SBGが売り出したアーム株は10%ほどで、今後も大半を保有する。売却で得る資金はAI分野への投資に宛てる考えで、対話型AI「チャットGPT」を開発したオープンAIに出資するとの観測が浮上。孫氏は6月の定時株主総会で、近年は厳しい業績を背景に手控えていた投資を積極的に行い、反転攻勢に打って出る決意を表明していた。
「AIは人類よりも賢くなりつつある」。
孫氏のAIに対する期待は並々ならぬものがある。
「金の卵」だったアリババが抜けた今、次の成長分野をオープンAIと位置づけた形。投資会社としての色彩をさらに強めながら、したたかさを見せている。66歳になった孫氏。バフェット氏など、世界の投資家とはまた違う孫氏流の投資手法で、厳しいグローバル情勢の中をどう生き抜くか。
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