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【金融庁】資産運用立国へ〝領空侵犯〟 厚労省所管の企業年金に改革を

財界オンライン / 2023年10月11日 15時0分

23年事務年度(23年7月―24年6月)の金融行政方針で資産運用会社・機関に運用力向上を促す方針を打ち出した金融庁。岸田文雄政権が掲げる「資産運用立国」の実現に向けた一手だが、視線は自らが所管する金融機関系の資産運用会社だけでなく、厚生労働省の守備範囲である企業年金にも注がれている。

 企業が運営する年金基金に運用成績や運用体制に関する情報開示を促し、能力の「見える化」を図るのが柱。それを通じて各基金の運用体制や専門性の向上につなげることを狙う。政府が年内に取りまとめる資産運用立国プランの目玉の一つとして盛り込むことを目指す。

 日本では、年金基金の総幹事を務める大手信託銀行が個別の基金名を伏せて運用成績全般の概要を公表しているにすぎない。各基金は加入者向けに年金の運用情報を提供しているが、詳細を公開している米英のように他の基金の動向が分からないため、パフォーマンスを相対的に評価できない。

 金融庁はこんな時代遅れの状況を抜本的に改め、企業年金の世界にある種の競争原理を持ち込みたいと考えている。情報開示を充実させ、同じ業界や似通った規模の基金同士の運用実績を比較できるようになれば、成績の悪い基金には契約者から運用力向上を求めるプレッシャーがかかるようになる。

 金融庁総合政策局のある幹部は「日銀の金融緩和修正で金利のある世界に戻りつつある中、企業年金基金も含めたアセットオーナーが従来の横並び的運用を脱し、成績を競う体制に転換する必要がある」と強調。

 ただ、「毎年の運用成績を公開して外部から比較されるのは好ましくない」と主張する企業年金側や、自分のシマを荒らされた格好の厚労省の反発は必至で、激しい攻防戦が展開されそうだ。

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