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【経済産業省】ガソリン補助金を延長も、遠のき続ける「出口」

財界オンライン / 2023年10月12日 11時30分

9月、都内のガソリンスタンド

政府は、ガソリン価格高騰を抑制するための補助金について、内容を拡充した上で支給を年末まで延長することを決めた。予定通り9月末で終了すれば、ガソリン高による家計や企業活動への打撃が大きいと判断したためだ。政府は、補助の長期化に伴う財政負担拡大を避ける考えだが、物価高騰に歯止めがかからない中で「出口」は遠のき続けている。

 補助金は、石油元売り会社への支給で卸価格を引き下げ、小売価格を抑える仕組み。22年1月に時限措置として導入された後、ロシアのウクライナ侵攻による原油高を受け、延長や拡充が繰り返されてきた。今年6月には段階的な補助率縮小が始まったが、円安や原油減産が重なってガソリン価格が急騰。8月下旬には5回目となる延長が決まった。

 レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均価格は、9月4日時点で186円超と過去最高値を記録。9月7日には拡充された補助制度が発動し、翌週は約4カ月ぶりに値下げに転じた。10月5日には補助がさらに拡大し、政府は同月中には175円程度まで引き下げる考えだ。

 ガソリン補助金には既に6兆円超の国費が投じられた。政府は、補助延長の財源には既存予算の使い残しを充てるため、実質的な追加の財政負担は発生しないもようだ。しかし、支給が年内で終わるとは限らない。与党内には、賃上げによって国民が物価高に耐えられるようになるまでは、補助を続けるよう求める声が出ている。再び延長されれば、補正予算などで財源確保を迫られる可能性もある。

 また、先進7カ国(G7)では、脱炭素化の一環で化石燃料への補助金を打ち切る動きが広がっている。現時点でガソリンへの補助制度を続けているのは、日本のほか、記録的インフレにあえぐ英国だけだ。補助制度の温存は、岸田文雄政権が推進するグリーントランスフォーメーション(GX)にも逆行する懸念があり、政府は難しい判断を迫られている。

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