【総務省】NTT法見直し、前倒しに意欲見せる鈴木大臣
財界オンライン / 2023年10月12日 15時0分
第2次岸田再改造内閣で総務相に就任した鈴木淳司氏は、情報通信審議会(同相の諮問機関)で24年夏の答申に向け本格的な議論が始まったNTT法の見直しについて、「早期に方向性を得られるものは速やかに必要な見直しに取り組む」と述べ、一部前倒しに意欲を示した。
防衛費増額の財源確保策の一つとして始まった政府保有のNTT株売却の動きは、完全民営化も含めたNTT法の見直しも視野に、同審議会の通信政策特別委員会で検討が始まっている。24年初めまで関係者の意見聴取を続け、同年5月に報告書を取りまとめる方針だ。
特別委員会はNTTのほか、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの競合3社トップを呼び、意見を聴取。競合3社トップは、規制緩和が公正な競争環境に与える影響に懸念を示し、そろって同法廃止に反対を表明した。
NTTの島田明社長は「市場の実態や技術の進展にそぐわない電話時代の規制は見直しが必要」と、全国一律のユニバーサルサービスの提供など、現行法で定められた義務や規制の撤廃を求めた。他の民間通信会社との競争環境確保のため、現在の形となっているNTT東日本とNTT西日本についても、「統合を選択肢の一つとして検討可能にしてほしい」と要請した。
一方、ソフトバンクの宮川潤一社長は、「長期的な競争環境を損なわないように慎重に議論してほしい」と要望。KDDIの高橋誠社長は、NTTグループが前身の日本電信電話公社から承継した特別な資産を保有していることを指摘し、完全民営化には反対。NTT法の維持は不可欠だ」と強く訴えた。最後発、楽天モバイルの三木谷浩史会長(楽天グループ会長兼社長)も「競争を促進するために分割されたのに、元に戻すのはあまりに危険だ」と主張した。
総務省より先行して議論を進めている自民党のプロジェクトチームは、審議会の報告書より先となる23年11月をめどに提言を取りまとめる予定で、与党、総務省の議論の行方が注目される。
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