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【厚生労働省】感染症対策の司令塔 「危機管理統括庁」が発足

財界オンライン / 2023年10月10日 15時0分

感染症対策の司令塔機能を担う「内閣感染症危機管理統括庁」が9月発足し、本格的に業務を始めた。初動対応が遅れた新型コロナウイルス禍の教訓を踏まえ、感染症危機対応に関する企画立案や調整を一元的に担う。首相官邸の指示機能を高め、有事に迅速に対応することを目指している。

 同庁創設は、岸田文雄首相が21年の自民党総裁選で公約に掲げていた目玉政策の一つ。首相は発足式で「政府の危機管理の扇の要に当たる組織で、一丸となって取り組んでほしい」と訓示した。

 トップの内閣感染症危機管理監には栗生俊一官房副長官、事務総括の感染症危機管理対策官には厚生労働省の迫井正深医務技監が就任。平時は38人が常駐、緊急時には関係省庁の職員との併任も含め最大約300人体制となる。当面は政府行動計画の見直しが大きな課題で、来年6月頃の計画改定を目指す。

 統括庁発足に合わせ、厚労省も健康・生活衛生局内に「感染症対策部」を新設。同庁と連携して関連施策の企画・立案を進める方針。ある幹部は「有事を想定して平時から緊張感を持って対応し、何が起こっても慌てずに対応できるよう準備する」と強調する。

 さらに25年度以降には、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターが統合した専門家組織「国立健康危機管理研究機構」も設置する計画で、米疾病対策センター(CDC)をモデルに感染症予防や調査、研究、人材育成などを総合的に行う。

 別の幹部は「学者や研究者は完全にエビデンス(証拠)がそろわないとなかなか判断しない。英国では専門家が訴訟を起こされた例もあるので神経質になるのは分かるが、コロナ時は国民が知りたいことに応え切れていなかったのではないか」と指摘。

 その上で「新たな機構は大学で教えながら働くことも可能で優秀な研究員らをそろえやすくなる。外部からのいろいろな意見を反映させることで、組織内に閉じこもらない議論は可能になる」と期待している。

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