【国土交通省】観光回復に期待と課題 オーバーツーリズムに対応
財界オンライン / 2023年10月13日 15時0分
日本政府観光局によると、8月の訪日外国人数(推計値)は215万6900人となり、コロナ禍前の19年8月と比べ85.6%の水準まで回復した。8月には中国政府が訪日団体旅行を約3年半ぶりに解禁。観光庁の高橋一郎長官は「インバウンドの回復がさらに進み、観光の活性化につながることを期待している」と述べた。
団体旅行解禁で旅行消費額拡大が期待される一方、中国国内の景気回復が遅れており、コロナ以前の「爆買い」が戻るかは不透明だ。同庁の担当幹部は「爆買いは行政としてどうにかできるものではないし、一過性のブームにすぎない」と指摘。その上で、「いろいろな地域に滞在してもらい、新しい体験やおいしい食事を通じた消費拡大を狙っていく」と語る。
急速に観光需要が回復すれば、宿泊施設の受け入れが追い付かないことも懸念される。24年度予算概算要求には宿泊業の人材確保を支援するための経費を新たに計上しており、万全の受け入れ環境整備を目指す。
他方、観光客の急増に伴い、住民生活や自然環境などに悪影響が及ぶオーバーツーリズム(観光公害)が一部地域で問題となっている。例えば京都市などでは交通機関の混雑が目立っており、富士山は登山客の集中による自然環境の悪化が懸念される。
そこで観光庁は9月、オーバーツーリズムの防止策を話し合う関係省庁対策会議の初会合を開いた。会議は観光庁のほか、国土交通省や環境省などで構成。観光地での過度な混雑やマナー違反の未然防止・抑制につながる具体策を取りまとめる方針だ。
高橋長官は、「これまで混雑の緩和やマナー啓発などに取り組む地域への支援を行ってきたが、より一層推進する必要がある」と強調している。
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