三菱自動車が生産から撤退へ 中国で苦戦が続く日本企業
財界オンライン / 2023年10月23日 11時30分
日本の自動車メーカーが中国で苦戦を強いられている。
ホンダや日産は2ケタ減へ 中国で日系自動車メーカーが1人負け
三菱自動車が中国での自動車生産から撤退を検討し、合弁相手の中国・広州汽車集団と調整中だ。もし三菱が撤退すれば、2018年にスズキが長安汽車との合弁解消をして以来の日本車メーカーの中国撤退となる。
春先の時点で社長兼CEOの加藤隆雄氏は中国の事業に関し「何らかの構造改革が必要」と述べていた。昨年12月に新型車『アウトランダー』のガソリン車を中国で生産して投入していたが、販売不振で3月から停止していた。そして今後も回復が見込めず再開を断念する。
中国国内では電気自動車(EV)が急速に普及。「これまで安かろう、悪かろうだった中国の地場ブランドが突如として存在感を高めている」(関係者)。長年、中国市場でトップだったフォルクスワーゲンも23年1―6月の新車販売ではトップの座を中国のBYDに明け渡した。
中国では今は終了したEVやプラグインハイブリッド車などの「新エネルギー車」に対する補助金が手厚く、「新車の買い替え時に、ガソリン車に目が向かなかった」(別の関係者)という。そこへきて地場ブランドのブランド力のある新車の投入が重なった形だ。実際、三菱自の中国での販売台数は18年度の約14.1万台から22年度には約3.1万台に落ち込んでいた。
中国で苦戦するのは三菱自だけではない。9月の中国の販売台数では日産自動車が前年同期比2割減と2ケタ減が続く。日産は4カ月連続で2ケタ減。三菱自は主力市場を東南アジアとしているため、影響はそこまで大きくないが、日産は販売台数の約3割を占める。
中国では熾烈な価格競争も勃発。一時、新車1台を購入すると、1台が無料になるといったキャンペーンも蔓延した。また、自動車部品関連の中小企業のトップは中国の経済情勢を「完全な不況局面に入った」と指摘した上で「一般消費者の買う力が落ちている」と分析する。
中国は世界最大の自動車市場。日本車メーカーにとっても収益を上げるには避けて通れない市場だ。EVの普及で〝地殻変動〟が現実のものとなる中、EV化で出遅れる日本車メーカーは正念場を迎えている。
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