コロナ明けの外食需要を喚起 ビール各社が業務用に活路
財界オンライン / 2023年10月24日 11時30分
コロナ禍でしぼんでしまった外食需要を掘り起こそうと、ビール各社が知恵を絞っている。
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サントリーは飲食店向けに350ミリリットルの缶ビール専用のビールサーバー『nomiigo(ノミーゴ)』を展開する。スーパーなどで販売されている常温の缶をセットしても、約4度にまでキンキンに冷えた〝飲食店で飲むクリーミーな泡の生ビール〟を提供することができる。
これまで飲食店向けの主なビールは10リットルの樽が最も小さいサイズだった。そのため、樽を置くスペースが必要で、一度、栓を開けると3日以内に消費しなければならなかった。また、ラーメン店などの規模が小さい店やファストフード店では〝生ビール〟を取り扱いたくても販売できない課題もあった。
コロナが落ち着き、5類移行後、徐々に回復の兆しが見えてきた中、「全世代で3割の方が『どうせお店に行くならおいしいもの』と質を求めるようになった。特に20~39歳の若い方だと、42%がその傾向にある」と独自調査の結果を語るのはビールカンパニーマーケティング本部長の多田寅氏。
つまり、お酒を飲む場所が居酒屋からファストフードやカフェ、ファミリーレストランなど、従来はお酒を飲む場所としてあまり認識されていなかった場所へと広がっているわけだ。そこでノミーゴを導入すれば、缶ビールは製造後、9カ月は保存が可能なため、ビールの注文が頻繁に入らない店でも取り扱いができるということになる。
ビールのサーバーで外食店舗を活気づけるのはキリンビールも同じ。複数のクラフトビールを1台で提供できる独自専用サーバー『タップ・マルシェ』を展開中。小型の専用ディスペンサーは樽を使わず、軽量なペットボトルに詰められたビールをそのまま差し込むだけで済む。
そのため、サーバーの置き場がなかったり、従来の容器や容量などで取り扱いが不慣れな店舗であっても、多様なクラフトビールの提供ができる。
右肩下がりが続く中、10月からは酒税改正でビールの税金も下がった。これを機に、うしなわれていた外食でのビール需要を生み出せるか。各社の知恵が試されることになる。
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