トライト・笹井英孝社長「医療福祉分野の人材紹介・派遣キャリアアドバイザーを駆使して「人が足りない領域に人の提供を」」

笹井英孝・トライト社長

「看護師や介護士、保育士を求める医療機関や介護施設、保育園の細かなニーズと求職者の働き方のニーズに徹底的に耳を傾けてマッチングさせる」

【東工大との統合】東京医科歯科大学・田中雄二郎学長が語る「教育と研究にもっと力を入れて、人々の生活を豊かにする大学を」

　人手不足が深刻な医療福祉分野の人材紹介・派遣を手掛ける。約190万人の登録求職者のデータベースを持ち、全国約7.5万件の施設と契約。介護士と保育士はトップで、看護師も業界2位の市場シェアを持つ。

　強みは約1700人を数えるキャリアアドバイザー（CA）の存在だ。通常の人材紹介業では、求職者を担当するキャリアカウンセラーと、法人を担当する部門は異なる。しかし、トライトは、この両方を1人のCAが行う。

　医療福祉業界でも人手不足は深刻な経営課題。特に介護業界は人材需給ギャップが2040年に約70万人に拡大すると言われる。だが、介護施設の理事長や小規模なクリニックの院長が経営や診察・治療等を行う傍ら、自ら人材募集をかけ、面接・採用まで行うのは難しい。しかも、医療福祉業界は早期離職率が高い。しかし、トライトは最適な人材を紹介。入職後6カ月以内の離職率は19％に留まる。

　また、働きたいけれど子育てなどで働けないと諦めていた潜在介護士や保育士に対し、CAが勤務条件などを施設と調整することで復職したケースも数多い。「人が足りない領域に人を提供することが当社の使命だ」と語る。

　2023年7月東証グロース市場に上場。今後は看護師、介護士経験を持つ方にリスキリングの機会を提供し、ヘルスケアとITの知識を併せ持つ人材の育成などを通じて、医療機関や介護施設などに向けてICTソリューションを提供していく。

「現場の労働環境を熟知した看護師、介護士等の資格や経験をもった人が、さらにIT・ICTのスキル・知識を身につけることで、現場のICT化の支援をする。ICT化の〝ラストワンマイル〟のサポートを目指す」

　コンサルタント時代には航空会社の再生なども担当。「自分を謙虚にさせる〝自己否定〟が大事」と話す。趣味で汗を流すボクササイズでは「指導者に恵まれています」と笑う。