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<日本活性化のカギとは何か?> 中小企業基盤整備機構理事長・豊永厚志が語る「4つの改革」

財界オンライン / 2023年10月18日 18時0分

豊永厚志・中小企業基盤整備機構理事長

ゼロゼロ融資の利子分を3年で220万者に提供

 ─ コロナ禍は一応の収束となりましたが、今度はいわゆるゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)や雇用調整助成金などを使って事業を続けてきた企業の倒産が増加しています。日本企業、とりわけ中小企業の現状を、豊永さんはどのように受け止めていますか。

 豊永 コロナ禍で人流が止まり、われわれの身近にあり、飲食業や宿泊、対人サービス業などを行う企業が大きなダメージを受けました。リモートを可能とするようなIT技術の導入が遅れた企業と、導入が進んだ事業者の間で差ができてしまった気がします。中小機構は、コロナ禍でこうした影響を受けた事業者を重点的にサポートしてきました。

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 まずゼロゼロ融資ですが、これは厳密には利子がゼロということではなく、有利子で借りた人が利子分を返済する前に、機構がその分の補助金を出して実質的に金利をゼロにするという仕組みです。

 この事業を政府から託されましたので、われわれは3年間で約220万口に対して利子相当分をお配りしました。

 ─ 220万口分の補助を出したと。

 豊永 それから事業環境の変化に対応するための前向き投資を支援する補助制度もいくつかあります。従来から交付しているものづくり補助金や持続化補助金に加えて、コロナ禍下で始まった事業再構築補助金を実施しています。これらを合わせると3年間で約40万者を採択し、補助金を交付しました。そういう意味では、少しはわれわれもお役に立てたかと思います。

 今後の課題で言えば、足元では円安が続いていて、直接投資の国内回帰のような風潮もありますが、前向きな企業の中には海外輸出について非常に強い関心をもつ経営者の方々もおられます。

 岸田政権の「新規輸出1万者支援プログラム」に沿って、昨年度の補正予算から今年度いっぱいまでのおよそ1年半に新たに輸出する中小企業を1万社(者)つくる活動を展開しております。

 中小機構はジェトロ(日本貿易振興機構)と一緒になって今年度内に目標を達成すべく全力を尽くしているところで、すでに目標に近いところまで来ており、必ずや早晩1万者を超えることになると考えています。



攻めの時代に必要な4つの「X」とは?

 ─ 逆に言えば、それくらい世界に打って出ようという経営者がいるということですね。

 豊永 そうなんです。もちろん、世の中は変化が激しく、先行きも見えにくく大変ですけど、先程来申し上げている通り、コロナ禍であっても、意欲的な人たちはIT投資をしたり、海外戦略をきちんと考えています。それができている人や企業はやはり業績を伸ばしています。

 わたしは最近、これからの時代は攻めの時代であり、トランスフォーメーションを「X」と呼ぶとすると、これからは4つのXが大事だと言っています。

 それは事業再構築というべきビジネストランスフォーメーション(BX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーントランスフォーメーション(GX)、そしてエクスポート(EX)。最後のエクスポートは、物の輸出ばかりでなく、統計的にはサービスの輸出にカウントされるインバウンド(訪日観光客)を含めています。この4つのXで乗り切ることが大事だと思います。

 優れた技と強い意志を持った中小企業の方々は沢山おられます。まだまだ日本は捨てたものではありません。意欲のある沢山の中小企業を、われわれは全力を挙げてサポートしていくことで、日本経済の活性化に貢献したいと考えています。

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