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【財務省】経済対策での焦点は「減税」 歳出改革は手つかずに

財界オンライン / 2023年10月19日 11時30分

政府が今秋取りまとめる経済対策は「減税」の在り方が焦点になるのは確実な情勢で、鈴木俊一財務相の調整能力が改めて問われそうだ。

 減税を巡っては、自民党の森山裕総務会長が岸田文雄首相の衆院解散戦略に関連し、税に関しては国民の審判を仰ぐ必要があると発言したのを皮切りに、与党幹部からも、近年の税収増を踏まえて減税措置を求める声が続出。

 法人減税と共に所得税減税が検討される模様だが、財務省内では「減税できるなら、防衛力強化や少子化対策のための負担増は必要ないと思われるのでは」(中堅)などと懸念する声がくすぶる。今後、政府・与党内の駆け引きは激化しそうだ。

 10月3日の記者会見で鈴木氏は、記者団に「減税を打ち出す状況ではないのではないか」と指摘されると「新型コロナウイルスや物価高騰に対応してきたため、財政状況はより一層厳しさを増しているのは事実」と応じた。

 ただ、「現下の物価高騰に苦しむ国民に税収増を適切に還元する必要」にも言及。「構造的賃上げと投資拡大の流れを強化するため、税制面での対応を含め真に必要で効果的な政策を積み上げる」とも語り、減税措置に含みを残した。

 毎回のように鈴木氏は「財政健全化目標の達成に取り組んでいくことも重要」と強調するが、岸田政権でも歳出改革はほぼ手つかずだ。霞が関では「今の財務省はバラマキの先頭に立っている」(経済官庁幹部)と揶揄する声もある。

 財務省幹部は「今の官邸は決められないし、調整ができない」(主計局)と呆れる。首相は4日夜、官邸で記者団に「税制や給付などあらゆる手法を動員して思い切った対策にしたい。効果的な経済対策を作っていきたい」と述べたが、具体策は与党に「丸投げ」(同)状態だ。

 首相の側近である木原誠二幹事長代理が「首相と話すばかりで党幹部への根回しは中途半端」(閣僚経験者)な上、今の官邸は「総理室で決めた政策が党幹部の意向でコロコロ変わる」(財務省幹部)という。歳出改革へ向け、鈴木氏の本気度が問われる。

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