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出澤社長の手腕問われる中、「LINEヤフー」が発足

財界オンライン / 2023年10月18日 15時0分

写真はイメージ

共同CEO体制解消から半年 ID連携は業績につながるか

「一人ひとりのユーザーに寄り添い、便利なサービスと驚きの瞬間を届け続ける。AI(人工知能)をはじめとする新たな挑戦への道も切り開く」

 10月1日付でZホールディングス(HD)と傘下のLINE、ヤフーなどが合併して発足した「LINEヤフー」の出澤剛社長CEO(最高経営責任者)は、こう決意を示した。

 ZHDは2021年3月にLINEと経営統合して同社を子会社化したが、直後に対話アプリケーション「LINE」利用者の個人情報が中国から閲覧可能になっていた事が発覚。4月には政府の個人情報保護委員会から行政指導を受けた。

 LINEとポータルサイト「ヤフー」のID連携などでシナジーを拡大する計画を掲げていたものの、ガバナンス強化に追われたことで停滞。23年4月には、川邊健太郎ZHD社長Co―CEO(共同最高経営責任者)が「けじめをつける」として会長に退いた。

 2トップ体制から、出澤氏に権限を集中してから半年。10月4日にようやくLINEとヤフーのID連携が始まったが、短期的にLINEヤフーの業績向上に資するかは不透明だ。ID連携を足がかりに、顧客データの相互活用を進めることなどで利用者の関心に合わせた広告を出しやすくなり、収益拡大につながる可能性はある。

 しかし、ZHDの23年3月期の広告関連売上高は前期比1.7%増の5914億円。22年3月期は同15.2%増の5815億円だったが、コロナ禍の収束に伴う巣ごもり需要の落ち着きもあり、成長が鈍化。電子商取引(EC)事業も、先行する楽天グループや米アマゾン・ドット・コムの背中に近づけているとは言い難い状況だ。

 さらに、ここに来てヤフーの〝公平性〟も問われている。公正取引委員会は9月21日、ニュースサイトの運営会社が報道機関に支払う記事使用料が著しく低い場合は、独占禁止法違反になり得るとの考えを示した。

 LINEヤフーは山積する課題を解決し、革新的なサービスの開発を加速して世界に展開できるか。出澤氏の手腕はこれから試される。

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