【株価はどう動く?】強気派と弱気派で強弱感が対立、株価は年末高に向かうか?
財界オンライン / 2023年11月28日 7時0分
「底入れ模索」の調整局面入り
日経平均株価は6月19日の3万3772円の高値から「3月またがり60日」の8月18日に3万1275円の安値を付けて、株価は上昇しました。しかし、9月15日に3万3634円まで上がったものの、6月、7月の高値を抜くことはできませんでした。
その後、「ダブルトップ」の形になって再び下落をして、10月4日に3万487円の新安値を付けました。日本の株価はしばらく、「底入れ模索」の調整局面が続き、短期的には、下は3万円、上は3万3000円というゾーンで動くのではないかと見ています。
6月高値、9月の二番天井がいずれも3万3000円台ですから、この3万3000円は意外に厚い壁になっています。また、年初から6月までの株価の上げ幅の半値押しが3万円割れ近辺ですから、10月4日の安値はここに近づいています。
半値押しは攻防の分岐点に現れる形ですから、今まさに攻防の分岐点に差し掛かっているということが言えます。
今は、株価の上値はせいぜい3万3000円近辺で、下は3万円、場合によっては3万円割れもあり得るという弱気の見方と、今は調整局面にあるものの日柄調整が終われば、いずれ6月高値を抜いて年末高となるという強気の見方に分かれているところです。
強弱感が対立すると、株価は横ばい、揉み合いになります。3万3000円と3万円のボックス相場の中心は3万2000円ですが、この水準を挟んで、運動会に例えれば紅組と白組の「綱引き」が続いています。この均衡が崩れたところで、株価が上に向かうか、下に向かうかが決まります。
では、この横ばいはいつまで続くのか。10月4日の安値から「3月またがり60日」を意識すると、長ければ12月4日頃まで揉み合うことになるというのが1つの見方です。
もし、年末に向かって強気派のシナリオになった時、年末高で6月高値を突破する展開になるなら、6月19日からの短期の中長期の波動は約半年です。
以前も解説しましたが、株価の短期波動の中の短期サイクルは2ないし3カ月、中期サイクルは数カ月から約半年、長期サイクルは12ないし13カ月になります。6月19日の高値から、次の山は半年サイクルで来る可能性がありますから、12月19日頃ということになります。
こう考えると10月、11月は調整局面が続き、年末高になる可能性があります。その高値がどこになるかは調整局面の中での安値の水準によります。
10月4日の安値を下回らなければ、株価は半値押しで調整を終えたということになります。そして10月4日は一番底ですから、株価は戻った後、もう一度下落し、二番底を入れて年末高という展開が予想されます。これが強気シナリオです。
弱気シナリオは、3万円前後が株価の「床」、3万3000円前後が「壁」になり、この間で揉み合いながら年内を終えるというものです。
日本の株式市場は「保ち合い相場」になりつつありますが、その理由の第1は米国のインフレ率が再び上昇していることです。米国の金利とインフレの先高感が出て、これに対する警戒感が強まり、波乱含みになっています。この動きによって日本にも弱気派が増えています。
直近のウォール街首脳の発言にも、それは表れています。JPモルガンCEO(最高経営責任者)のジェイミー・ダイモン氏は「過去数十年で世界は最も危険な時期」だと指摘しています。ロシア・ウクライナ戦争に加え、ハマスとイスラエルも戦争状態に入っています。
戦争は、世界の資源・エネルギー価格を押し上げ、インフレが加速する要因になります。ですから、米国の金利は上昇する可能性が高いということを、ウォール街の首脳が言っているわけです。こうした市場の見方は、日本の株価が下落している要因の1つでもあります。
米国発の金利とインフレの高止まりが、グローバルマーケットを圧迫しています。ただ、日本経済は例外で、このことは私が日本の株の行方を強気に見ている理由でもあります。
もう1つは、前述のようにウクライナ戦争の長期化に加え、ハマスとイスラエルの交戦によって第5次中東戦争勃発の恐れが出てきています。これも株価下落の要因になっています。
世界情勢は今、ハマスのイスラエルへの攻撃によって、日・米・欧にとっては難しい状況になっており、これは各国の株式市場にとってマイナスです。
ただ、年内に戦火の拡大で第5次中東戦争のような動きになった場合には、逆に日本の株式市場では買いチャンスになります。日本の大企業でPBR(株価純資産倍率)1倍割れ、高配当、2024年3月期決算の見通しがいい銘柄を買うチャンスがやってくるのです。
第3次世界大戦にならない限り、中東での紛争が拡大しても、日本には直接的な影響はありません。むしろ、第1次世界大戦時のような「特需ブーム」がやってくる可能性があります。
前回、前々回と「2日新甫は荒れる」という相場格言を紹介しましたが、これは証券界、投資家の多くが知っているもので、経験法則から皆が警戒していました。市場の警戒感が高まる中、10月7日にハマスがイスラエルを攻撃したわけです。
プロの投資家は、こういう時には基本的に現金比率を高めます。また、足元で大きく損をしている人も、ここで手放すのではなく、後からくるであろうリバウンド相場、下げ過ぎの反動高が来た時に売るような姿勢が必要です。
今はやや、相場は弱気が押し気味ですが、日本経済の現状は悪くありません。岸田文雄首相が欧米の投資家向けに日本への投資を呼びかけ、「資産運用特区」の創設も表明しましたが、これは海外からのマネーが流入する要因になり得ます。
今、岸田内閣の支持率は下落していますが、株式市場での支持率は次第に上がる可能性があります。
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