第一三共がADC開発でメルクと提携 最大3.3兆円の受取総額
財界オンライン / 2023年11月10日 7時0分
がん領域の医薬開発
受取総額は最大3.3兆円─。第一三共が、がん領域の主力製品として集中投資する抗体薬物複合体(ADC)の開発を加速させるため、米製薬大手のメルクと提携した。
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「より早く、より多くの患者さんにイノベーティブな薬を届ける最善の手段は戦略的提携だと判断した」と第一三共会長兼CEOの眞鍋淳氏は強調する。
メルクとはADC技術を用いた3製品で戦略提携。後払い一時金や販売マイルストーン(医薬品開発企業側から発見・発明企業側に対して支払われる費用)などを合わせて最大約3.3兆円を受け取る可能性がある。
既に3製品のうち、肺がん治療薬は2023年度下期にも米国での承認申請を予定。残りの2製品も臨床試験が進んでいる。メルクと提携することで、第一三共は費用を抑えた効率的な開発ができる。
眞鍋氏はメルクのキャパシティ(生産能力)や経営資源などを含む高い開発力や、がん領域の豊富な経験、同社の主力免疫療法薬「キイトルーダ」で培ったがん免疫療法に関する専門性、さらにはグローバルでの事業展開などを挙げる。
一方のメルクにとっては、世界のメガファーマが次々と開発を諦めた抗体と低分子化合物を結合させたADCの開発力は魅力的に映るはずだ。というのも、キイトルーダの特許が早ければ28年頃には切れるからだ。
第一三共はADCの乳がん治療薬「エンハーツ」をヒットさせ、23年度の同薬の売上高は3200億円を見込む。適応が拡大すればさらに成長が期待される。ただ、同社の海外売上高は6割弱と武田薬品工業やアステラス製薬(共に8割超)に比べて低い。それだけにメルクとの提携は同社のグローバル展開の一里塚になる。
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