【経済産業省】「文献調査」評価基準策定も 最終処分場の地域選定は難航
財界オンライン / 2023年11月7日 11時30分
経済産業省は10月13日、総合資源エネルギー調査会の特定放射性廃棄物小委員会を開いた。原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場を選定するための「文献調査」について、評価基準を策定。活断層や火山などの項目ごとに基準を設け、避けるべき地点を明確化させた。文献調査の内容を適正に評価した上で、選定の第2段階「概要調査」の候補地検討に活用する方針。
評価基準では最終処分場として避けるべき地点として、後期更新世(約12万~13万年前)以降の活動が否定できない活断層の断層面や、約258万年前までに活動した火山の15キロ以内などを提示。景観や環境の保護を考慮する方針も示した。
現在、全国で文献調査を受け入れているのは北海道の寿都町と神恵内村で、調査開始からすでに約3年が経過した。調査を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)は、国の評価基準に則って2町村の調査報告書をまとめる方針だ。
一方、文献調査の受け入れ地域は2町村以外に広がりを見せていない。受け入れを検討していた長崎県対馬市は9月、応募しない意向を表明。比田勝尚喜市長は、「市民の合意形成が十分でないと判断した。観光業や水産業などへの風評被害が少なからず発生すると考えられる」と述べた。
政府は今年4月、「最終処分に関する基本方針」を改定し、「政府の責任」で処分に取り組んでいくことを明確化。NUMOも含めて7月から全国の自治体を個別に訪問し、調査受け入れの働き掛けを強化している。
経済産業省は「複数の地域が文献調査に関心を持っている」(幹部)として実施地域拡大を目指すが、今回の対馬市の動きは、他の地域の判断にも影響を与えそうだ。
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