【総務省】NHKのインターネット配信 必須業務化へ有識者が提言
財界オンライン / 2023年11月7日 15時0分
総務省の有識者会議は、NHKの放送の補完業務と位置付けられている番組のインターネット配信について、「必須業務」として扱うべきだと明記した報告書をまとめた。受信料の範囲で見られるネットの同時・見逃し配信は、テレビを持たなくても新たな負担金を支払えばスマートフォンなどで視聴できるようにすることも盛り込んだ。
報告書は「テレビ離れ」が進む中、NHKが「ネットで番組を提供する役割を主体的に担うべきだ」と指摘し、放送と同じくネットを必須業務化する重要性を強調した。
必須業務化した場合は、スマホやパソコンのみで放送を視聴する人に「相応の負担を求めることが適当」との見解を示した。負担を求める要件としては、スマホアプリをダウンロードするなど視聴するための「積極的な行為」を挙げた。
必須業務の対象として、地上波放送の同時・見逃し配信を明記した。衛星放送や国際放送については議論を続け、年内をめどに結論を出す方向だ。放送番組以外の文字ニュースなどのコンテンツは、災害情報や番組関連情報などを対象とする一方、それ以外は廃止した上で新たな必須業務に再整理すべきだと指摘した。
これに対し、ネット配信の必須業務化に反対してきた日本新聞協会は、「受信料制度の在り方などの根本的な検討はなく、遺憾だ」との談話を発表。必須化による地方紙などへの競争上の影響や、ネット視聴者からも受信料を徴収することにも懸念を示した。見解の相違が埋まらないまま結論に至ったことにも異議を唱えるなど、対立姿勢が鮮明となった。
NHKの稲葉延雄会長は報告書について、「国民の利益につながるとの主張が受け入れられた」と歓迎。ネット配信事業に充てる上限200億円の年間予算額に関しては、「いたずらに拡大することは考えられない」と述べているが、反対姿勢を強める民放連や新聞協会の理解を得るのは難しい情勢だ。鈴木淳司総務相は「法案を含め必要な準備を進める」考えだ。
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