【農林水産省】マレーシアでも「#食べるぜ」 大臣が禁輸ドミノ阻止狙う
財界オンライン / 2023年11月8日 15時0分
宮下一郎農林水産相は10月上旬、東南アジア諸国連合(ASEAN)との農林相会合に出席するため、マレーシア・クアラルンプールを訪問した。農水省はSNS上などで日本産水産物の消費を促す「#食べるぜニッポン」キャンペーンを展開しているが、マレーシアでもPRイベントを開き、中国の全面輸入停止で打撃を受けた日本産水産物の販路拡大に余念がない。
農水省によると、8月の中国向け農林水産物・食品の輸出額は、前年同月比36.3%減の175億円、このうち水産物は65・7%減の36億円に激減した。日本が東京電力福島第1原発に溜まる処理水の海洋放出を始めた8月24日以降、中国が水産物の禁輸対象を日本の10都県から全都道府県に拡大したためである。
10月中旬には、中国に続きロシアも一時的に輸入制限措置を取ると発表。水産物輸出額全体に占めるロシア向けの割合は0.1%弱と、22.5%に上る最大輸出先である中国に比べれば影響は小さいが、科学的な根拠に基づかない「禁輸ドミノ」が広がるのは避けたい考え。
マレーシアは日本産水産物の輸入を制限する姿勢を見せてはいないが、中国との経済的な結び付きは強まっている。
宮下農水相は、日マレーシア友好議員連盟の事務局長も務めており、大臣として初の海外出張の訪問先としてはうってつけ。帰国後の会見で「日本産の水産物の魅力を訴えることができたことは、今後の水産物の輸出の拡大につながる」と意義を強調した。
日本は引き続き、世界貿易機関(WTO)の枠組みの下で、中国に禁輸措置の即時撤廃を要求していく方針だが、実現は見通せない。11月に米サンフランシスコで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて、岸田文雄首相と習近平国家主席による日中首脳会談が実現するかどうかが当面の焦点になりそうだ。
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