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韓国ライバル企業の反対でキオクシア・WDが統合断念

財界オンライン / 2023年11月16日 7時0分

写真はイメージ

半導体のサプライチェーン強化が実現できず

 半導体大手キオクシアホールディングス(早坂伸夫社長)と米ウエスタンデジタル(WD)が、スマートフォンなどの記憶媒体に使うNAND型フラッシュメモリーの事業統合を断念した。キオクシアに間接出資する韓国SKハイニックスが統合に同意しなかったことが要因。戦略物資である半導体のサプライチェーン(供給網)強化が実現できず、経済安全保障の確立に支障が生じそうだ。

 WDのゲックラー最高経営責任者は10月30日の決算説明会で、「あらゆる話し合いが終了したことは明確にしておきたい」と述べ、統合白紙を示唆した。

 キオクシアは経営危機に直面した東芝が2017年、半導体メモリー事業を分社化して設立。その後、米投資ファンドから出資を受け、東芝から独立した。

 近年、半導体市況の悪化を受け、キオクシアとWDの経営は苦戦。キオクシアは2023年4―6月期まで3四半期連続の赤字。半導体の生産には数千億円規模となる巨額投資が必要で、単独での生き残りは厳しいとの見方が浮上。そのため、提携関係にある両社は統合によるスケールメリットを生かし、収益改善を図る展望を描いていた。

 米中対立が深まる中、国際社会での競争を勝ち抜く上で半導体は不可欠な物資だ。安定調達を図るためのサプライチェーン再構築が喫緊の課題であることから、統合は国策に等しかった。

 10月には、両社の統合へ必要な1兆9千億円の融資の確約を銀行団から取り付け、協議は最終局面を迎えていたが、SKが難色を示した形。

 ファンドを通じてキオクシアに約4千億円出資するSKはNAND型フラッシュメモリーで世界2位のシェアを持つが、3位のキオクシアと4位のWDが統合すれば、SKの地位が脅かされるとの焦りが背景にあると見られる。また、中国当局が日米半導体連合を容認しないとの見方もブレーキを掛けた。

 ウエスタンデジタルは代替策として、メモリー事業の分社化を決めた。キオクシアとの提携関係は維持する方針だが、規模が物を言う半導体の世界で別々の道を歩んだままでは局面の打開は容易ではない。

「日米欧の国際連携で最先端の半導体を」ラピダス・小池淳義の決意

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