円安などを背景に業績の上方修正相次ぐ総合商社
財界オンライン / 2023年11月16日 18時0分
守るところは守り攻めるところは攻める
総合商社が円安などを背景に、通期業績見通しの上方修正が相次いでいるーー。
「想定以上の円安だが、稼ぐ力がついてきている」と語るのは、三菱商事社長の中西勝也氏。
三菱商事が2024年3月期の当期利益を従来予想の9200億円から、9500億円(前年同期比19.5%減)に上方修正した。想定以上に円安が進んだ他、ガス、自動車・モビリティ、総合素材などの事業が好調で同社の総合力が生きた。
また、三井物産も従来予想から600億円上方修正し、当期利益は9400億円(同16.9%減)。伊藤忠商事も当期利益見通しを200億円引き上げ、8000億円(同0.1%減)に上方修正。各社とも資源価格高騰の恩恵を受けた前期に比べれば減益だが、それでも各事業の収益力が高まり、最高益に近い水準を維持している。
もっとも、商社は世界景気の影響を受けやすい。ウクライナやパレスチナ情勢などの地政学リスクや中国の景気減速の影響など先行きには不透明感も漂う。
それだけに、三井物産社長の堀健一氏は「会社全体で一つひとつの事業ポートフォリオを精査していく」、伊藤忠商事社長の石井敬太氏も「遠くを見過ぎず足元でしっかり稼げる事業に予算を使いたい」と慎重な姿勢。
そうした中、三菱商事はEX(エネルギートランスフォーメーション)とDX(デジタルトランスフォーメーション)関連、三井物産はモビリティやヘルスケア・食料、伊藤忠は蓄電池などの環境関連や情報通信事業を拡大していく考えで、今後見据える成長領域は三者三様。
守るところは守り、攻めるところは大胆な投資を行うという、トップのメリハリが今まで以上に問われることになりそうだ。
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