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アサヒグループホールディングス会長・小路明善『人への投資が最大のリターンを生む』

財界オンライン / 2023年12月21日 7時0分

「人の成長なくして企業の成長はない。企業は人に投資し、商品やサービスの付加価値を高めることに尽きる」

 世界情勢の不安定、国内の人口減少の中、いち早くグローバル経営化に着手したアサヒグループホールディングス。2023年1月~9月期決算では、前年同月比で売上高9%増の2兆230億円、事業利益が13%増の1996億円と、過去最高益を記録。そのうち海外売上高は約5割弱を占めるまでに拡大している。

「日本企業の国際競争力を強化していくためには、人への投資はマスト。今まではコストとして考えられていた人件費を投資として捉えて、高付加価値商品を打ち出し、安い日本を止めないといけない」と小路氏は語る。

 同社の画期的な商品開発では、スーパードライの生ジョッキ缶がある。外で生ビールが飲めなくなったコロナ禍に、家でも外で飲む生ビールを飲みたいという潜在ニーズをとらえ、従来の缶ビールとは一線を画す商品を開発。生ビール特有の泡の再現だけではなく、缶容器の飲み口を最大限拡大し、外で飲むような、「ゴクゴク飲む」という解放感を具現化した。

 また、「商品開発は潜在ニーズを具現化すること。そして期待を超える美味しさが高い付加価値となる」と小路氏。

 潜在ニーズを拾い需要を拡大し、適正に価格転嫁を行う。それにより得た利益を人へ投資し、人々の所得が上がれば、消費の拡大につながる、という小路氏の考え。

 経団連副会長としても経済界全体の賃上げを主導する同氏は、「構造的な賃金引き上げ等の人への投資に努め、成長の果実を適正に分配し分厚い中間層の形成を図っていきたい。今年、来年を歴史的転換点となるよう努める」と強調した。

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