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【2024年をどう占う?】答える人 旭化成社長・工藤幸四郎

財界オンライン / 2024年3月4日 20時0分

工藤幸四郎・旭化成社長

スピード感を持ってポートフォリオの変革を

 ─ 旭化成社長の工藤幸四郎さん、旭化成はマテリアル、ヘルスケア、住宅の3本柱を軸とする会社ですが、24年の展望を聞かせてくれませんか。

 工藤 マテリアルでは石油化学の構造改革が喫緊の課題ですが、事業範囲が極めて広いので、川上と川中に分けてお話しします。川上にあたるエチレンプラントですが、稼働率が90%を切っている状況が続いており、非常に厳しい状況が続くと思います。川中の誘導品に関しては、それぞれ各社が特徴あるものをつくっていますが、コストや付加価値に見合ったかたちで価格転嫁できるかどうか。各社の持っている誘導品が本当に力のあるものかどうかが試される1年になると思います。

 ヘルスケアはコロナ禍で業績に影響がありましたが、今後は順調に拡大していきますし、当社としては一番の成長ドライバーですので、引き続き勝負をかける投資をしていこうと考えています。

 住宅は国内の人口減少はこれからも続きますし、戸建ての販売状況が非常に厳しい状況にありますが、このトレンドは変わらないと思います。しかし、我々は数年前からハイエンドな商品で勝負し、一棟当たりの平均単価が相当上がってきていますので、右肩上がりとは申し上げにくいですが、順調かつ堅実に成長していくと思います。

 ─ 新価格体系と言いますか、原材料価格が高騰する中で、価格転嫁をいかに進めるかは引き続き大きなテーマですね。

 工藤 原材料が上がった分をお客様に転嫁させていただくということはご理解いただきつつありますので、今後も進めていきます。ただ、値上げにも限界がありますので、そこにどう付加価値を付けるかという問題になってくる。そうなると、当社のように多角化経営をしている会社は、ポートフォリオの変革も最大限スピードを上げてやっていかなくてはなりません。また、事業に強みがあるのか、または弱いのかを見極めて、場合によっては事業を売却する、合弁を組む、あるいは強化するためにリソースを投入する、というような判断をする必要があると思います。

 ─ それと、これからの環境対応の面では、どのような技術開発を進めていきますか。

 工藤 日本の化学会社は自社のCO2(二酸化炭素)排出を削減していかなくてはなりませんが、一方で、そのCO2排出削減に寄与する技術は世界的にも優秀なレベルにあると思います。

 当社は今、再生可能エネルギーでつくるグリーン水素やCO2を原料として化学品をつくる技術を磨いていますので、この部分については胸を張って進めていこうと思います。

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