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ケルヒャー ジャパン社長・大前勝己氏「「総合清掃機器メーカー」としての認知度を高めていきたい」

財界オンライン / 2024年3月12日 15時0分

大前勝己・ケルヒャー ジャパン社長

室内家庭用製品は今後「ホワイト」で統一

 弊社は、世界各地で愛用されるドイツ発祥の清掃機器トップブランドの日本現地法人です。2023年に創立35周年を迎えました。

【写真で見る】ケルヒャージャパン・大前氏の経営に密着!

 コロナ禍では、「巣ごもり需要」もありましたが、足元の事業環境は決して楽観視できるものではありません。お客様は、自らのお金をどこに使うかを非常に厳しく見定めていており、我々の製品を選んでいただくのは、簡単なことではありません。

 ただ、我々は家庭用製品、業務用製品の両方を手掛けておりますから、どちらか一方のビジネス状況が悪い時にはもう片方が補うという体制は構築できています。

 日本の人口推移を考えると、家庭用、業務用ともに、自動化、省力化が最大の課題です。例えば業務用床掃除で言えば、人間の力では1時間で150平方メートルですが、機械を活用すれば同じ時間で最大で1100平方メートルを掃除することが可能になります。非常に大きな時間、労力、そして人件費が削減できるということです。当社の清掃機器は、お客様の生産性向上に大きく寄与することがきできています。

 この35年で当社のブランドは日本市場において、「高圧洗浄機」を中心に浸透してきたという実感があります。一方、当社は世界では「総合清掃機器メーカー」として高い認知度を誇っており、このブランドイメージを日本でも高めていきたいと考えています。

 そこで23年9月、日本向けに開発した家庭用スティック掃除機を発売しました。スティック掃除機は競合の多い市場だということを承知の上での参入でしたが、お陰様で手応えはまずまずです。改めて、当社が清掃機器メーカーであるということを日本のお客様に知っていただくチャンスだと強く感じています。

 また、当社の製品の色といえば「イエロー」で知られていると思いますが、グローバル戦略の中で、室内で使う家庭用製品を「ホワイト」に統一することを決定しました。これは全世界での市場調査の結果を受けて、創業者一族も交えた10年以上にも及ぶ議論の末に辿り着いた結論です。ただ、黄色は当社の「ブランドカラー」ですから、製品の一部には必ず使うというルールは変わりません。


デジタルを活用した生産性の向上を

 前社長のマーク・ヴァン・インゲルゲムはコロナ禍の最中、20年7月に就任し、当初は6カ月で社内体制を整えた後に本社に帰任する予定でした。しかし、今後10年間の当社の成長に向け、デジタル化や社内文化の変革の必要性を強く感じ、日本に残りました。

 ケルヒャーには、社内で「人」を育て、マネジメントに携わらせていくという伝統があります。私は06年の入社以来、現場の一営業から家庭用製品部長や営業本部長を務め、営業網の改革などを手掛けてきました。そして私自身、ケルヒャーという会社、その製品、そこで働く「人」が大好きです。ですから、全ての社員が会社を好きになり、誇りに思えるような会社にしていきたいと思っています。

 日本におけるこの35年間で、会社は成長し、スタッフの数も増えてきました。ただ、人口減少の日本で、この先5年、10年と同じようなやり方では、成長シナリオを描くことは難しいと考えています。デジタル化を含めた効率化、生産性向上を戦略として掲げていきたいと思います。

 そして、ユーザー様、お取引先に最高の顧客体験をしていただけるようなサプライチェーンの変革、デジタルソリューションの提供にも力を入れて行きたいと思っております。

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