【金融庁】「資産運用立国」の実現に 向けた環境整備に躍起
財界オンライン / 2024年2月19日 11時30分
岸田文雄政権が「資産運用立国」を看板政策に掲げる中、金融庁が約2000兆円に上る家計の金融資産を「貯蓄から投資」へシフトさせようと、環境整備に力を入れている。目玉施策の一つが4月に発足する新組織「金融経済教育推進機構」だ。
欧米に比べて遅れているおカネにまつわる教育を抜本的に充実させることで、国民の金融リテラシーを向上させ、投資促進につなげるのが狙い。イベントやセミナーを通じた啓発活動のほか、顧客本位の立場で資産形成について助言する「認定アドバイザー」制度も創設する。
金融界で大きな関心を集めているのが、「認定アドバイザー」制度。現在、個人への金融情報の提供は、銀行・証券など金融機関の営業担当者、ファイナンシャルプランナー(FP)、生保のセールスレディらが担っているが、「自社グループや販売手数料が高い特定金融機関の商品を売り込むためのセールス活動になっている」(監督局幹部)と批判されてきた。
近年は大手金融グループに属さない「独立系金融アドバイザー(IFA)」も生まれているが、実態は証券外務員資格を基に金融商品の販売手数料を金融機関側と分け合う業者というケースも少なくない。顧客にとって「純粋なアドバイザー」とは言えず、中には、手数料稼ぎを目的に商品設計が複雑でリスクの高い仕組み債を売り付けてトラブルになった例すらある。
業を煮やした金融庁は、信頼できる助言者にお墨付きを与える制度の創設に乗り出した。認定アドバイザーとして認められるには「特定の金融機関に属していない」「金融機関から販売手数料など対価を得ていない」などが条件。助言と商品販売を明確に切り離すことで顧客との利益相反を排除し、個人に寄り添ったアドバイスが提供されるようにしたい考え。
金融教育の活性化と国のお墨付きを得た顧客本位のアドバイザーの登場で、元本保証の貯蓄重視に偏ってきた国民のおカネに対する意識を変えられるか。金融庁の手腕が問われる。
第一生命経済研究所 首席エコノミスト・熊野英生の提言「消費は良いのか、悪いのか?」
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