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【国土交通省】USスチール買収に反対 「もしトラ」に戦々恐々

財界オンライン / 2024年2月29日 11時30分

「もしもトランプ前米大統領が再び大統領となったら」―─。

 今年11月に控える米大統領選でトランプ氏の返り咲きが現実味を帯びつつある中、「米国第一主義」や過度に保護主義的な政策が復活する可能性に世界各国が戦々恐々とし始めた。日本でも「もしトラ」問題として警戒感が高まっている。

「恐ろしいことだ。私ならすぐさま阻止する。絶対にだ」

 日本人に前米政権時代の国際社会の混乱ぶりを久々に思い出させたのは、1月末のトランプ氏発言だ。

 昨年末に発表された日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収について同氏は、大統領に再任されれば認めない考えを表明した。買収に反対する全米鉄鋼労組(USW)の支持獲得が狙いだ。

 日鉄の森高弘副社長は2月7日の決算記者会見で、政治問題化することは「想定内」だと指摘。買収に「変更はない」と明言したが、続投を目指すライバルのバイデン現米大統領もUSWの姿勢を支持しているとされ、不透明感は増している。

 一方、トランプ氏は10日、在任時に北大西洋条約機構(NATO)加盟国の首脳に対し、軍事費を十分に支出しなければロシアから攻撃を受けても「守らない」と伝えたことを回想。集団防衛という同盟の根幹を揺るがす発言が欧州で波紋を呼んでいる。

 こうした動きは、ほんの序章に過ぎないだろう。

 トランプ氏は▽地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」再離脱▽EV移行推進政策の撤廃▽石油・天然ガスの大幅増産─など数々の政策転換を主張。米国への輸入品に10%の関税をかけ、中国には60%を課す意向も示している。ウクライナ支援には反対姿勢を見せており、当選すれば国際情勢が再び混乱に陥るのは避けられない。

 米ブルームバーグ通信は、米欧貿易摩擦の再燃を危惧する欧州連合(EU)が、トランプ氏再登板で想定される欧州への「懲罰的措置」への対応策を協議し始めたと報じている。

 日本では、トランプ氏と友好関係を築き、欧州との橋渡し役も担った故安倍晋三元首相の不在を嘆く声もある。

 自民党の甘利明前幹事長は11日のフジテレビの番組で、安倍政権での経験値を持つ「安倍チーム」を首相官邸に加えることが「いま考えられる一番の策」と訴えた。

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