追悼・北島義俊さん〈大日本印刷前会長〉
財界オンライン / 2024年3月20日 15時0分
「対話をすることで気付きが生まれる。それによって新事業を創っていきたい」─。本業である印刷を大事にしながら印刷技術から新しく生まれる技術で次々と新分野に展開。今日の大日本印刷の基礎を気付いた。
父・北島織衛(おりえ)氏の後を受け継ぎ、社長に就任したのが1979年(昭和54年)である。以来、2018年(平成30年)6月、現社長の北島義斉(よしなり)氏にバトンタッチするまでの39年間、社長を務めた。
同社の歴史は古い。創業は1876年(明治9年)の秀英舎に遡り、今年で148年の歴史を誇る。『第二の創業』を担う立場として「P&Iソリューション(印刷と情報の融合によるソリューションビジネス)」を標榜。印刷は全産業と接地面があり、いまや同社の事業はエレクトロニクスから食品・流通、建材、自動車、創薬関連と実に多彩。
父・織衛氏はもともとチャレンジングな性格の人で、1950年代後半(昭和30年代の初め)にエレクトロニクス分野への進出のきっかけとなるブラウン管テレビのシャドウマスクの製作に乗り出す。これも印刷の写真製版と腐食のエッチングの技術でつくるところから始まった。1958年にシャドウマスクの開発に成功し、新事業開拓の歴史が始まったと言っていい。
織衛氏の改革精神を受け継ぎながら、北島さんも『拡印刷』をキャッチフレーズに事業拡大していった。いま、本拠地・市ヶ谷(東京)の高台に本社や研究棟、そして半地下の形で出版の工場が建ち並ぶ。敷地5万3800平米(約1.8万坪)の広大な敷地には小高い丘があり、けやきなどの樹木や小竹、野草が人々の目を癒してくれる。
北島さんは「1886年に現在の新宿区・市谷加賀町に工場建設して以来、ここを拠点としていた。北区や五反田などに散らばっていた本社機能を集約し、連携を密にしていきたい」と市谷への整備を推進。そして、「取引先の方々と対話をする拠点にしていきたい」と語っていた。
1933年(昭和8年)生まれで、戦時中の小学生の時分に縁故疎開で、埼玉県・秩父で幼少時代を過ごした体験を持つ。「日本再生に貢献したい」という気持ちは強く、知の文化を担う出版業界と共に育ってきたという歴史を紐解きながら、出版界の振興に最後まで尽くした人であった。
この志は息子である現社長の義斉氏に受け継がれている。その義斉氏は「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供していきたい」と語る。本業プラス新事業領域の開拓の努力はこれからも続く。
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