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日銀がマイナス金利を解除 企業も実力を問われる時代へ

財界オンライン / 2024年3月28日 20時0分

日本もようやく「金利のつく時代」に

メガバンクは早速普通預金金利を引き上げ

「大規模な金融緩和は役割を果たした」─こう話すのは日本銀行総裁の植田和男氏。

 2024年3月19日、日銀は金融政策決定会合を行い、マイナス金利の解除、YCC(長短金利操作)の撤廃、ETF(上場投資信託)などリスク資産の買い入れを終了するといった政策変更を決めた。

 長期国債の買い入れについて将来的に「どこかの時点で減らしていきたい」(植田氏)としたものの、当面は継続し、緩和的環境を継続させる。

 政策金利については、マイナス0.1%としていたが、無担保コール翌日物レートで0~0.1%程度とし、小幅ではあるが、ついに「金利が付く時代」が到来したことになる。

 マイナス金利が解除されて即日、メガバンクが動いた。三菱UFJ銀行と三井住友銀行は普通預金金利の引き上げを発表。

 みずほフィナンシャルグループ社長の木原正裕氏は「16年1月に始まった『マイナス金利付き量的・質的金融緩和政策』の修正であり、利上げ自体は07年2月以来17年ぶり、という点で、『金利ある世界』への大きな変化の節目、『ゲームチェンジ』という認識」とコメントした。

 日銀としては景気に配慮しつつの政策運営になるが「今後は長期金利や住宅ローン金利の上昇、民間企業の資金調達需要が前倒しになるといった話が出てくるのではないか」と指摘するのはニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの矢嶋康次氏。

 個人に影響のある話としては普通預金に金利が付くプラスと、住宅ローン金利上昇というマイナスの両面がある。ある試算によると住宅ローンが0.1%上がると月の返済金額が3000円上がるという。この数字を見ると、やはり賃上げが継続するかが今後のカギを握る。

「日銀はQT(量的引き締め)の準備に向け、政策的自由度を確保した形」とは第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏。その意味で、ようやく金融政策は「正常化」のスタートラインに立ったばかり。ともかく脱デフレで、日銀が主役の時代は終わった。これからは企業主体の成長力が問われる。経営者にも緊張感が求められる。

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