〈ライバル同士がタッグ!〉アース製薬と花王がタイの虫ケア領域で協業
財界オンライン / 2024年3月27日 15時0分
国内ではライバルの企業が海外でタッグを組むことにーー。
「最も地球上で人間を殺しているのは蚊。デング熱による死者は年間2万人。まだまだ世界で感染症は猛威を振るっており、われわれがお役に立てることがあるのではないか」
こう語るのはアース製薬社長の川端克宜氏。
アース製薬と花王がタイで、虫ケア(殺虫剤)領域で協業する。今年7月に共同開発した、蚊を駆除できるスプレーを発売。1年を通じて高温多湿な東南アジアにおいて、デング熱やジカ熱など、蚊を媒介とする感染症被害は深刻化しており、ライバル同士が手を組んだ形だ。
近年、デング熱はアフリカや東南アジア、南米など世界的に拡大。年間約3.9億人が感染し、死者は約2万人に上る。日本でも感染者が確認されるなど温暖化に伴い、感染エリアは徐々に拡大、北上している。
中でも被害が深刻なのがタイ。デング熱には、予防するワクチンや治療薬がないため、ウイルスの感染を防ぐためには、媒介する蚊に刺されないことや蚊の発生を防ぐことが重要だ。
そこで殺虫剤などの虫替え用品に強みのあるアース製薬と化粧品や洗剤に強みのある花王が提携。花王は23年に蚊の体表面に着目し、界面活性剤によって蚊の行動を制御する独自技術を開発しており、両社が手を組むことで新たな商品開発にこぎつけた。
花王社長の長谷部佳宏氏は「自分たちで何とかしようと思った時期もあった。しかし、できるだけ早く、多くの人たちの命を救いたいという思いから、最も虫の研究をされているアース製薬さんと組まない手はないと考えた」と語る。
国内の日用品メーカーで首位の花王。売上高は約1.5兆円でアース製薬(約1500億円)とは約10倍の開きがあるが、前述したように両社の強みは微妙に違う。お互いの得意技を持ち寄ることで、新たな市場を開拓することはできるか。
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