【外務省】途上国への支援強化へ ODAの新たなあり方を議論
財界オンライン / 2024年4月2日 11時30分
国の予算が限られる中、発展途上国への支援は強化し、日本の存在感を高めたい――。
外務省が3月、民間資金を活用し、新たなODA(政府開発援助)の在り方を探る有識者会議を立ち上げた。上川陽子外相が肝いりで立ち上げたもので、周囲には「東南アジアやアフリカで影響力を強める中国に対抗できる素地を作りたい」と語り、省幹部に制度作りを進めるようハッパをかけている。
「多くの民間企業や投資家が、持続可能な社会を実現するための金融(サステナブルファイナンス)の推進に積極的になっている。ODAを触媒にして、いかに民間資金を動員していくか。前例にとらわれず、新たなODAのあり方を模索していくことが非常に重要だ」
上川氏は3月1日、外務省で開いた有識者会議の初会合でこう訴えた。
外務省が受け持つODA予算は、2023年度で約5700億円。ピークだった1990年代の半分に落ち込んでいる。同省では、途上国でインフラ支援などを積極的に手掛ける中国の動きを念頭に、ODA予算を抜本的に増やすよう求めているが、厳しい財政事情から認められない状態が続く。
「複数の投資家は、SDGs(持続可能な開発目標)に絡む途上国のCO2(二酸化炭素)対策などに資金を出す動きがある。これを国のODAと絡め、全体の規模と中身を充実させたい」と考えた上川氏は、昨年から同省関係者に民間投資家の現状などを調べさせ、準備を進めてきた。省幹部には「財務省が予算をくれるのを口を開けて待つのでなく、自助努力でやれることを探すのも私たちの仕事」と檄を飛ばしているという。
有識者会議は夏までに議論を重ねて方針をまとめ、25年度予算案に、新制度の方針を反映させる方針だ。外務省予算は長年横ばい状態が続いてきたが「外からでもかき集めてこい」と呼びかける上川氏の危機感が、省内にどこまで伝わるか。
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