エーザイが認知症薬の普及へ 皮下注製剤や検査体制の整備などにも注力
財界オンライン / 2024年3月28日 15時30分
「我々はAD(アルツハイマー病)領域の旗手。新しい医療の道を切り拓く気概をもっている」─。こう強調するのはエーザイCEOの内藤晴夫氏。同社が米バイオジェンと共同開発したAD治療薬の「レカネマブ」が昨年末から実用化されているが、同氏は診断から治療のパスウェイ構築にも注力している。
NANO MRNA・秋永士朗の「創薬シーズと医療ニーズをつなぐプラットフォーマーに」
注目されているのが新たなAD治療薬「E2814」の開発。30年度に米国での承認取得を目指していると明言した。同薬はADの原因と考えられている、たんぱく質「タウ」を標的にした抗体だ。一方のレカネマブは脳内に蓄積した、たんぱく質「アミロイドベータ」を標的とする。
タウとアミロイドベータとはAD病の2大病理とされており、E2814が実用化すれば、エーザイはAD領域における2大病理を克服する医薬品を抱えることになる。内藤氏はAD病の「治癒も視野に入る」と語る。
また、レカネマブも進化する。同薬は点滴による投与で、投与対象者も事前に陽電子放出断層撮影(PET)か脳脊髄液(CSF)の検査で、脳内にアミロイドベータがあるかどうかを調べなくてはならない。
そこでエーザイは自己注射が可能な皮下注製剤の初期・維持療法や微量の血液でアミロイドベータの有無が判る血液バイオマーカーによる確定診断の実用化に向けた研究開発も進めている。患者や家族が自宅でレカネマブを投与できるようになれば、患者の近隣の「かかりつけ医」による診断・治療も可能になる。
また、検査体制の強化においては、米バイオ企業のC2Nダイアグノスティクスに最大1500万ドル(約22億円)を出資する。同社は特殊な質量分析技術を使って、アミロイドベータの脳内蓄積を血液で調べる技術を開発。米国では既に診断支援サービスの一種として医療現場などで使われ始めている。
さらに同社は中国市場の開拓にも乗り出す。先行する米国や日本と違って、中国ではPETやCSFの検査環境が未整備。「診断の最初から血液バイオマーカーを活用する」(同)考えだ。
エーザイはレカネマブの売上高が32年度には1兆円超になると予測する。メガファーマと鎬を削る中で、中堅としてAD領域で一味違う存在感を放てるか。内藤氏の手腕が問われる。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
日本独自の認知症早期発見・早期介入モデルの確立に向けた大規模実証研究を開始しました (J-DEPP研究)
PR TIMES / 2024年11月21日 11時45分
-
ドナネマブ、26日に日本発売 国内2例目の認知症抗体薬
共同通信 / 2024年11月20日 18時39分
-
SEGNOS(セグノス)と地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 高感度免疫診断技術(ThermaLISA(サーマライザ)法)を用いた早期アルツハイマー病スクリーニング検査法の共同研究を開始
PR TIMES / 2024年11月12日 12時40分
-
アルツハイマー病の新治療薬「ドナネマブ」の実力と対象者
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月6日 9時26分
-
SEGNOS(セグノス) ThermaLISA法を用いた早期アルツハイマー病リスク検査サービスに関するアンケート調査 11/11から開始
PR TIMES / 2024年10月31日 18時15分
ランキング
-
1ワークマンは「8800円ランドセル」で勝負…「過去最悪の少子化」でも異業種がランドセル市場に続々参入するワケ
プレジデントオンライン / 2024年11月29日 16時15分
-
21億円売れた“宇宙服素材”布団 厚さ「3センチ」で真冬越せる性能 どう開発した?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月30日 8時10分
-
3電気・ガス料金高止まり「風呂キャンセル」「設定温度1℃」で何円変わる? “ちょっとした”節約術をご紹介【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月29日 21時59分
-
4行列スキップ「ファストパス」飲食店で拡大!食材費や人件費の補填や、ドタキャン対策にも【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月29日 21時30分
-
5高級タワマン老人ホームへ引っ越しました!…慶應卒・78歳同期の元常務から届いた満面の笑みの年賀状。年金月30万円・元部長は即座に画像検索「脅威の入居金額」に悶絶
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月29日 10時45分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください