「紅麹」サプリ問題で問われる小林製薬の自浄能力と危機管理
財界オンライン / 2024年4月16日 11時30分
卸からメーカーに変身した歴史
「危機管理体制の改善に社を挙げて取り組んでいきたい」─。小林製薬社長の小林章浩氏は強調する。同社の「紅麴」成分入りのサプリメントによる健康被害問題。「未知の成分」の混入としていたが、それが青カビが作る「プベルル酸」という化合物だと分かった。ただ、それが健康被害とどう結びついているかは、まだ分かっていない。
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現時点では、2023年12月に閉鎖された大阪工場で同年4月から10月にかけて製造した紅麹原料からプベルル酸が検出。同工場は品質・衛生管理に関する指針「GMP(適正製造規範)」の認証を取得していなかった。
そもそも小林製薬は医療用医薬品は製造していない。同社の前身「小林大薬房」が1919年に誕生し、当初は医薬品の卸売りを手掛けていたが、60年代以降、開発に時間や費用がかかる医療用医薬品より販路を広げやすい日用品に注力。
競合が少ない隙間で独自商品を生み出す「あったらいいなをカタチにする」を標語に、トイレ用洗浄剤「ブルーレット」や冷却用シート「熱さまシート」など生活雑貨のメーカーへと業態を変え、20%近い営業利益率を誇る会社となった。
2000年代以降はM&Aを積極展開し、紅麹事業は16年にグンゼから事業譲渡。小林製薬の23年12月期の国内売上高のうち日用品は4割を占める。紅麹事業の売上高は6億円ほど。26期連続で増益を達成していた。
ある中堅メーカーの首脳は「事業全体に管理の目が行き届いていなかった」と指摘。実際、小林氏も「卸を通じて海外でどういう商品になって販売されているか、全容が掴めていない」と認める。小林製薬の紅麹を使った宝酒造では「日々不安に思うお客様からの電話が鳴り続けている」と関係者は話す。産業連関の在り方が問われている。
また、小林製薬の危機管理に対する感度も問われる。「同じロットから複数の異変が出たら、原因究明する前に、まずは出荷を止めるべき」と前出の首脳。小林製薬は因果関係が証明されていなかったことを理由に、自主回収まで2カ月を要した。
コスト意識が厳しいことで知られる同社。創業家の小林家のあり方も含め、経営の根本が問われている。
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