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【厚生労働省】次の消費増税のトリガーに 年金制度の大改革が目白押し

財界オンライン / 2024年5月15日 18時0分

社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会が4月中旬に開かれ、公的年金制度の健全性を確認する5年に1度の「財政検証」の作業内容を正式に決めた。夏ごろに検証結果を取りまとめ、制度改革の具体化につなげる。今回は「負担増」と受け止められかねない改革項目が目白押しのため、世論や政治を巻き込んだ激論が繰り広げられそうだ。

 年金部会では財政検証で用いる経済前提シナリオや制度改革を行った場合の効果を調べる「オプション試算」の項目を決定。①国民年金(基礎年金)の保険料納付期間を現状の40年間(20~59歳)から45年間(20~64歳)へ5年延長②厚生年金に加入できるパート従業員らの対象拡大③一定以上の賃金がある高齢就労者の厚生年金を減額する「在職老齢年金制度」の廃止または緩和─など、5つの改革案が盛り込まれた。

 年金局幹部は「盛りだくさんな改革項目の中でも、基礎年金の保険料納付期間延長が一番の焦点」とみている。自営業やフリーランスの人は保険料の納付期間が5年延びると、計約100万円の追加負担が生じるため、早くも「年金増税だ」との批判が出ている。

 これに対し、同局は低年金に陥りがちな国民年金受給者の生活を支えるのが狙いと反論。先の同局幹部は「保険料を5年分多く払うと給付額も年約10万円増える。つまり10年以上受給すれば追加負担分より得をする計算だ」と理解を求める。低年金のために、生活保護を受給する高齢者数を少しでも減らしたいという思惑も透けて見える。

 一方、基礎年金の半分は国庫負担で賄っているため、保険料の納付期間延長に伴い国庫分にも巨額の安定財源が追加で必要になる。所要額は40年時点で年1兆数千億円に上る見通し。

 安定財源の確保とは通常、「増税」を意味する。年内の衆院解散も取り沙汰される中、政権が年金改革にどのような判断を下すのか注目が集まる。また、財務省も今のところ正式見解を示していないが、ある政府関係者は「今回の年金改革が次の消費増税のトリガーになるかもしれない」と警戒していた。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト・熊野英生氏の提言「投資不足社会」

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